ハワイで暮らすなら知っておきたい!アメリカの税金の基礎知識

このコラムでは、ハワイでビジネスをするために欠かせない法人・個人対象の米国税務や会計について、できるだけ分かりやすく解説します。ハワイ進出、さらに米国本土進出を目指す日系企業やアメリカに住む皆様に、東京、ハワイ、西海岸、東海岸とネットワークを持つ米国公認会計士事務所として、お役に立てればと思います。

2017年 4月 5日更新

第14回 : 米国税法上の居住者(Resident Alien)と非居住者(Non Resident Alien)の決定方法

今回は、米国税法上の居住者と非居住者の決定方法について、説明したいと思います。この決定を見誤ると、苦労して作成した確定申告書が根本的に間違えているということになりかねません。また、米国非居住者に明るくない専門家に申告書作成を依頼してしまうと、本来は非居住者申告のはずが、居住者としての申告書を作成されてしまうという事態もあり得ます。ご自身でも、ある程度判定できるようにしておくことが重要となります。

税法上のステータスの種類

米国における税法上のステータスは大まかに以下の5つが考えられます。 

  • U.S. Citizen
  • Resident Alien
  • Non Resident Alien
  • Dual Status
  • U.S. Citizen
  • Dual Resident

上記のうち、米国市民(U.S.Citizen)と米国居住者(Resident Alien)は、米国税法上ほぼ同等に扱われます。また、Dual Resident とDual Statusに関しては、少し特殊な状況ですので最後に記します。現時点では、居住者(Resident Alien)と非居住者(Non Resident Alien)の中間のようなステータスとお考えください。一番理解する必要があるのが、居住者(Resident)と非居住者(Non Resident)の区分方法です。なぜ理解が必要かというと、申告に使うFormと税金の計算方法が全く異なってしまうからです。また、これらの税法上のステータスは、特定の場合を除いて自動的に決まってしまうもので、自身で選べるというものではないので注意が必要です。

Green Card Test とSubstantial Presence Test

米国税法上のステータスは、一般に以下の2つのテストによって決定されます。

Green Card Test
Green Card を持っているかどうか?
Substantial Presence Test
*申告の年において、滞在日数が31日以上、かつ
*申告の年における滞在日数 + その前の年における滞在日数 × 1/3
*申告の年・・・対象とするTax Returnの年をさします。2016年のTax Returnの場合は2016年。
上記2つのテストのうち、どちらかを満たすと税法上居住者(Resident Alien)として扱われます。ここで終われば話は簡単ですが、F、J、M、QビザのTeacher、TraineeおよびStudentには例外があります。詳しくはF、J、M、Q ビザの特別ルールを参照ください。
(計算例) 2014年、2015年、2016年と、毎年122日ずつ滞在したとします。Substantial Presence Test を適用すると以下のようになります。

122+122 × 1/3+122 × 1/6=183

従って、この例では2016年度の税法上のステータスは、居住者(Resident)となります。毎年の滞在日数を121日以内に抑えれば、Substantial Presence Testの適用において、税法上居住者(Resident Alien)とはなり得ないということを示しています。

Closer Connection Exception
Substantial Presence Test によって米国税法上居住者(Resident)扱いがされてしまっても、以下のことを示すことができれば、例外的に非居住者(Non Resident)として扱われることができます。

    Substantial Presence Testによって米国税法上居住者(Resident)扱いがされてしまっても、以下のことを示すことができれば、例外的に非居住者(Non Resident)として扱われることができます。

  • 申告の年において、滞在日数が183日未満であること。
  • Tax Homeが米国外にあること。
  • 米国との関連以上に、Tax Homeのある国に関連があること。
この例外措置を受けるためには、Form 8840を提出する必要があります。

(補足)出張のため米国滞在が多いビジネスマンは、申告の年に183日以上の滞在をしない限り、日本の企業からの所得は、日米租税条約を使うことで、米国税法上課税されないことになります。ただし、新日米租税条約(第14条)では、183日の数え方が上記とは異なり、申告の年に開始または終了するいずれの12カ月間における滞在日数が 183日を超えないこと、となっております。これは、年をまたいで滞在することによる183日以上の滞在が、事実上183日以上の滞在として扱われることを意味します。

税法上居住者(Resident Alien)と非居住者(Non Resident Alien)の決定方法
居住者(Resident Alien)扱いの始まる日

米国に183日を超えて滞在した場合、いつの日から税法上居住者(Resident)として扱われるのか理解する必要があります。
例えば、ある人が2016年1月1日から滞在したとして、7月1日で滞在183日を超え、Substantial Presence Testによって、税法上Residentとなるとします。この場合、7月1日から税法上居住者(Resident)扱いになるのではなく、滞在はじめに遡って1月1日から米国居住者扱いとなります。さらに、ある人がGreen Card を取得し、Green Card テストによって、税法上Resident 扱いになる場合でも、いつの日をもって税法上のResident 扱いが始まるかが問題になります。
従って、これらをルールを以下に記します。

Dual Statusについて

Dual Status は、一般に米国へ入国した年や米国を去る年に適用されます。例えば、F,J,M,Qビザ以外で入国した場合は、いきなりSubstantial Presence Test の適用を受けてしまい、183日を越えて滞在した場合は入国年から税法上居住者(Resident)として扱われます。この場合は、全世界の所得が申告対象になってしまいます。それを緩和する意味で、一年のうち 非居住者(Non Resident)として扱われる期間と居住者(Resident)として扱われる期間と分けて申告する形をとることになります。Dual Status となると以下の制限が出てきます。

  • 定額控除(Standard Deduction)が使えなくなります。
  • Head of Household のFiling Status が使えなくなります。
  • 結婚していても夫婦合算申告(Married Filing Jointly)が使えなくなります。
  • Education Credit, EIC (Earned Income Credit)などが使えなくなります。

税法上居住者(Resident Alien)に比べると、報告するべき所得が米国源泉所得に限られるため、控除の面で恩恵が少なくなります。

(例)前年度の申告で米国税法上居住者扱いされていた人が、次の年の途中で日本へ帰国したとします。この場合、帰国年も米国居住者扱いとなってしまいます。米国税法上居住者として扱われた場合、全世界所得が申告対象となり、日本に帰国してからの所得についても申告義務が生じます。この場合には、米国滞在中は 米国居住者として、帰国後は米国非居住者として税金の計算をすることになります(当面米国居住者にならないことが前提)。この場合、1040NRと1040の両方のフォームを使うことになります。Dual Statusのルールはやや複雑ですので、詳細に関しては、IRS Publication519 U.S. Tax Guide for Aliens(PDFファイル)を参照ください。

Dual Residentについて
Dual Status とDual Resident は別の意味で使われます。米国以外の国(例えば日本)の税法上居住者(Resident)であり、かつ米国で居住者(Resident)扱いになった場合などがこれに該当します。つまり、両国において居住者(Resident)となった場合です。この場合、日米租税条約によって日本の居住者と判定される場合、Form 8833を使ってそれを開示し、米国において非居住者(Non Resident)として申告することが可能です。

米国税法上、居住者なのか非居住者なのか、この判定から米国での税務上の取り扱いが変わってきます。少しでも疑問が残る場合には必ず専門家に相談されることをお勧め致します。

2017年 4月 5日更新

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Partner若菜雅幸 (WAKANA, MASAYUKI)(Nagano Morita LLP)

名古屋工業大学工学部卒業、GE横河メディカルシステム(現GE Healthcare)を経て、2001年に渡米。メリーランド州のローカル会計事務所、永野森田米国公認会計士事務所ロサンゼルスオフィス、同オレンジカウンティオフィス、東京オフィスを経て、2012年よりハワイオフィス勤務、現在同事務所パートナー。ハワイ州、カリフォルニア州、バージニア州公認会計士 (HI, CA, VA CPA)米国税理士(Enrolled Agent)

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