ハワイで暮らすなら知っておきたい!アメリカの税金の基礎知識

このコラムでは、ハワイでビジネスをするために欠かせない法人・個人対象の米国税務や会計について、できるだけ分かりやすく解説します。ハワイ進出、さらに米国本土進出を目指す日系企業やアメリカに住む皆様に、東京、ハワイ、西海岸、東海岸とネットワークを持つ米国公認会計士事務所として、お役に立てればと思います。

2017年 6月 5日更新

第16回 : 米国税法上の非居住者(Non Resident Alien)と居住者(Resident Alien)扱いの違い

ここでは、非居住者(Non Resident Alien)と居住者(Resident Alien)の米国税法上の扱いの違いを説明します。両者はフォームの記入方法ばかりでなく、控除の種類や税率など多くの違いがあります。フォームの自体はなんとなく似ているところがありますが、両者の違いを理解することは、特にF、J、M、Qビザで数年間滞在する方には注意が必要です。

米国税法上非居住者(Non Resident Alien)

1. 米国源泉所得(U.S. Source of Income)のみ課税されます。

(注意)米国税法上非居住者扱いの場合は、Income が以下の2つのカテゴリーに分類され、異なる税金の計算ルールが適用されます。

  • Income Effectively Connected with a U.S. Trade or Business (一般に就労所得など)
  • Income Not Effectively Connected with a U.S. Trade or Business(一般に投資所得など、1040NR Page.4)

2. 一般に租税条約(Tax Treaty)が利用可能です。

3. 夫婦合算申告が利用できなくなります。

4. 定額控除(Standard Deduction)が使えずに項目別控除(Itemized Deduction)のみになります。しかも、税法上居住者(Resident Alien)の項目別控除に含まれている医療費と支払利子の控除がありません。普通に生活している 米国一時滞在者は、State Income Taxくらいしか控除対象にならないことが多いです。

5. 日本から渡米して滞在する米国非居住者の場合は、配偶者控除、扶養者控除共に認められておりません。

6. 米国の銀行預金の利子所得は非課税扱いを受けます。

7. F、J、M、QビザのTeacher, Trainee, Student に該当する方は、家族も含めて、所得がなくてもForm 8843を毎年提出する義務があります。

8. F-1、J-1、M-1、Q-1ビザで非居住者(Non Resident Alien)として扱われる期間は、ソーシャルセキュリティタックス(FICA, Medicare)が免除されます。F-2、J-2、M-2、Q-2ビザの方は免除になりません。

米国税法上居住者(Resident Alien)

1. 米国以外(全世界から)の所得も課税されます。

2. 夫婦合算(Joint Return)が使えます。

3. 定額控除(Joint: $12,600 Single: $6,300 2016 年)と項目別控除 (Itemized Deduction)のどちらか大きいほうを使えます。

4. 医療費控除及び特定の支払利息の控除が可能です。ただし、項目別控除(Itemized Deduction)を選んだ場合のみで、 医療費に関しては、AGI(Adjusted Gross Income)の10%を超える額を控除できます。従って、高額所得者ほど、控除が減額される仕組みとなっています。ちなみに、処方箋のない薬代は医療費として認められません。

(例)AGI(簡単なケースでは給料の額) 5万ドル×10%=$5,000 を超える医療費?
この例から、なかなか医療費は引けないものです。

5. その他の控除などが使えます。税法上居住者扱いでないと使うことができない主な控除を以下に示します。

  • Child Tax Credit
  • Earned Income Credit
  • Tuition and Fee Deduction
  • Education Credit など

6. たとえF-1、J-1、Q-1、M-1ビザであっても、米国税法上居住者(Resident)扱いされると、ソーシャルセキュリティタックスの課税対象になります。

まとめ

以下に日本人が非居住者(Non Resident)扱いされた場合と居住者(Resident)扱いされた場合の、控除面での違いをまとめます。あくまでも一般例ですので例外も生じます。

2017年 6月 5日更新

皆さんのご意見、ご相談等ございましたら以下までご連絡ください。

hawaii@nagano-morita.com

Columnist's Profile

Partner若菜雅幸 (WAKANA, MASAYUKI)(Nagano Morita LLP)

名古屋工業大学工学部卒業、GE横河メディカルシステム(現GE Healthcare)を経て、2001年に渡米。メリーランド州のローカル会計事務所、永野森田米国公認会計士事務所ロサンゼルスオフィス、同オレンジカウンティオフィス、東京オフィスを経て、2012年よりハワイオフィス勤務、現在同事務所パートナー。ハワイ州、カリフォルニア州、バージニア州公認会計士 (HI, CA, VA CPA)米国税理士(Enrolled Agent)

Nagano Morita LLP

1600 Kapiolani Blvd., Ste 1320, Honolulu, HI 96814
TEL:
808-944-8090
FAX:
808-954-4949
EMAIL:
hawaii@nagano-morita.com