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「ハワイに来る人たちに知ってほしい!」(シリーズ第三弾)見知らぬ土地に旅行するときの心得。

ハワイで「聖ルカクリニック」を開業して25年の小林 恵一院長に、「ハワイに来る人たちに知ってほしい!」というテーマで、見知らぬ土地に旅行するときの注意点について、一般論と医学的見地の両面からアドバイスをしていただきました。

第三回目のテーマは「見知らぬ土地に旅行するときの心得」です。

海外旅行と言えば、日常を離れ、これまでに訪れたことのない名所・名跡を観光して、異文化に触れ、美味しいものを食べて、ショッピングを楽しむなどワクワクすることばかりを想像しがちです。ところが思わぬトラブルに巻き込まれたり、病気になったり、ケガをしたりということも結構起こりがち。言葉の壁もあるため、些細なトラブルもおおごとになりがちです。せっかくの海外旅行、特に初めての見知らぬ土地への旅行を台無しにしないようにするには、どうすればいいのでしょうか?小林医院長にいろいろと教えていただきました。

普段の生活では味わえないような体験ができるのが海外旅行。みなさん、ついつい大胆な行動をしがちです。何か気をつけた方がいいことはありますか?

小林院長:旅行というのは一般的に、日常のよく知っている環境から見知らぬ環境に移ることを言います。それは旅の醍醐味とも言えますが、あまりにも過激な変化に身を投じるのは考え物ですね。

確かに、人によって環境の変化に上手に対応できる人とそうでない人がいますよね。

小林院長:普段と違う経験をしたくなるのが旅ですが、見知らぬ土地でも日本での習慣をできるだけ崩さないことが大事です。

たとえば、何がありますか?

小林院長:もし、朝起きて散歩をするのが習慣なら、それを守りそれを崩さない。夜にニュース番組を見る習慣があれば、旅先でも夜にニュースを見るようにする。朝食に食べるものも出来るだけ普段と変えないで同じものを食べる。

日本にいるのと変わらない生活を心掛けるのですね。

小林院長:そうです。旅先でもルーティーンを変えないことです。日本と全然違う文化の中に身をおいても、自分の生活スタイルをすぐに現地に合わせて変えるのではなく、まずはルーティーンを維持してから少しずつ慣れて、そして現地のスタイルに調節していくのが大切だと思いますよ。

見知らぬ土地では出来ることから、自分のペースで異文化に足を踏み入れていくのがいいということですね。

小林院長:体も心もルーティーンを守りつつ、用心深く少しずつ現地に合わせ、異文化に適応する。なるべく普段と何も変えないことが、病気や怪我、トラブルに巻き込まれない条件です。見知らぬ土地の文化に適応するには、先ずはその土地の全体像を把握するのも大事です。

どういうことですか?

小林院長:人はその場所を知るだけで安心感を得ます。例えば、旅先で見晴らしの良い場所を探し、そこから街全体を眺めてみる。人間ってそれだけでその場所を征服した気持ちになるのです。俯瞰して全体像をつかめば安心感が得られます。

なるほど。少しでも知っていると安心です。

小林院長:もし見晴らしの良い高台がなければ、タクシーで旅先の主だった所を周ってみる。そうして街の中の知らない部分をできるだけ少なくすることをお勧めします。

そこまでしないといけないのですか。

小林院長:これはちょっと過激な話ですが、もし見知らぬ土地でテロリストに目隠しをされて誘拐された結果、何処かの建物に放り込まれるような場合を想定しましょう。自分がどこにいるか知らないより、自分の連れて行かれた場所が少しでも予想できれば何とかなるでしょう。どこに連れて行かれたのかが分かれば、大きな助けになります。そういう意味でも、訪れる土地の全体像を俯瞰することはとても大事です。

そうすれば、万が一のこと(誘拐など)が起こっても、逃げ出せるかもしれませんね。

小林院長:場所がわかっていればなんとかなる。これはちょっと過激な例でしたが、旅行先を熟知しておくこと、つまり土地勘があると、危険を回避する上でとても役に立ちます。この辺は凶悪犯罪の多発するエリアだと知っていれば、近寄りませんから。

訳もわからず知らない場所には行かず、ちゃんと下調べが大事ですね。

小林院長:そうです。それから、せっかく旅行に行くのだから、その土地の歴史や文化も事前に勉強しておきましょう。

「昔、この土地でこういうことがあった」とか、もっと現地やそこに住む人々をよく理解できるようになりますね。

小林院長:言葉についても同じで、現地の人と交流すために基本的な会話(こんにちは、ありがとう、さようなら)など、その国の言葉を覚えてから旅行してください。

なるほど。では次に医学的立場からアドバイスをお願いします。

小林院長:旅先では大それたことをしないことです。例えば、飛行機からパラシュートでジャンプをする、バンジージャンプをするなどの大胆なことは控えましょう。大怪我をするなど、何が起こるかわかりません。

ハワイはホノルルマラソンで有名ですが、マラソンはどうですか?

小林院長:練習もせず安易にマラソンには参加しないことです。マラソンの原型になったと言われる「マラトンの戦い」は、兵士がペルシア軍をマラトンで破った一報を本国に知らせるために、戦場からアテネまで40キロ走った話ですが、ご存じですか?

あまりよく知らないのですが、何が起こったのですか?

小林院長:アテネにたどり着き、勝利を伝えたその兵士はすぐに死んでしまいました。死がすぐそこにあるほど40キロ走るということは、過酷だということを忘れないでください。トライアスロンなんてもってのほか。ハイキングも要注意です。

自然の中を歩くハイキングもダメですか?

小林院長:私の経験ですが、近所の山で犬の散歩をしていると、笹をかき分けて男女が突然現れ、「やっと文明のある場所に辿り着いた」と叫んで、大の字になってアスファルトの道路の上に倒れ込みました。話をよく聞いてみると、朝からなんと8時間も山の中を歩き続けたそう。

その人たちは、ハイキングをしていて道に迷ったのですね。

小林院長:そうです。ハイキングでも、知らない土地でいきなりは無理です。有名な言葉で「君主危に近寄らず」とありますが、徳のある者は自分自身を律して、危険な所には初めから近づこうとしないという意味です。見知らぬ土地への旅行では、道に迷ったり怪我することもあるので、ハイキングでも要注意です。

他にはありますか?

小林院長:あと旅行者に多い失敗は、寝る時です。就寝中の温度設定はとても重要で、普段自分が寝ているときの室温を調べて、旅先でも普段と同じ室温に設定し、同じような寝具で寝た方がいいですね。

何度ぐらいが適温でしょうか?

小林院長:20度が温度設定の基本だとみなさんは考えていますが、20度は結構寒いし、25度は暑い。自分が普段の寝る時の温度を事前に調べて、宿泊先のホテルの室温をそれに合わせましょう。そうすれば、風邪をひくことも防げるでしょう。

食べ物はどうですか?

小林院長:現地の食べ物を楽しむのは、旅行の一つの醍醐味ですが、フランスに行ってフランス料理を毎晩出されたらどうでしょうか?バターを使ったソースを多用するフランス料理は、日本人には少し胃もたれするかもしれません。

確かに毎晩だとしんどいです。

小林院長:旅行中の胃腸への負担を減らすためにも、緊急食としてレトルトのご飯など、自分の好みに合わせて日本食を持っていきましょう。人によって違うでしょうが、お漬物、お茶漬けのりなどいいでしょう。食べ物の準備は大事ですよ。

薬はどうですか?

小林院長:海外でももちろん薬は手に入りますが、飲み慣れた薬を持っていきましょう。

この薬は必ず持って行った方がいいという薬はありますか?

小林院長:海外の旅行先で一番多く起こる医学上の問題は、下痢です。水が変わると下痢になりやすく「旅行者下痢症」という言葉があるほどです。すぐに飲めるように下痢止めを用意しましょう。

他にもありますか?

小林院長:胃もたれのために胃薬も必要でしょう。また、何処かで体や頭をぶつけたりした時の抗炎症薬もあるといいですね。

旅先ならではの病気は他にありますか?

小林院長:旅先はトイレの場所がなかなか見つからず、我慢することも多いでしょう。その結果、膀胱炎になることがあります。もしお医者さんに処方してもらえるなら、風邪と膀胱炎の抗生物質をもらっておくといいでしょう。

他にあればいいものはありますか?

小林院長:簡単な傷の手当てをするために、殺菌・洗浄効果のある消毒液があると便利ですね。

旅先でクルーズ船に乗って、酔ってしまった苦い経験があるのですが。

小林院長:クルーズは旅のエンターテインメントの1つです。酔ってしまったら、楽しみは台無しになるので、酔い止めは準備してください。特にヨットは一発で酔ってしまうでしょう。酔い止めには飲み薬と貼り薬がありますが、貼り薬はかなり有効ですよ。ものすごい嵐でも酔わないですね。

飛行機に酔う人もいますね。

小林院長:飛行機が嫌いで不安症のある人や、ドアが閉められてパニックになる人は、酔い止めの他に安定剤も準備しておきましょう。

たくさんの薬が必要ですね。

小林院長:ハワイなら日本語の通じるクリニックがあるので、気軽に連絡してください。薬を取りに来るだけの利用も可能です。海外旅行傷害保険に入っていれば、無料です。

それは便利ですね。

小林院長:旅行者が多いのは、ワイキキクリニックですが、滞在型の人はアラモアナクリニックにたくさんお越しになります。保険に関しては、病気やケガなどの色々な内容があるので、行き先などをよく考えてから加入してください。

コロナ禍では定番だったマスクについてはどうお考えですか?

小林院長:マスクは滞在先でも購入できます。マスクをつけるかどうかについては、現地の習慣に従った方がいいでしょう。

他に医学的立場からのアドバイスはありますか?

小林院長:渡航先によってはマラリアが怖いですね。アジア、アフリカ、オセアニアや中南米の熱帯・亜熱帯地域の国々で多く発症します。現代の医学では、1度かかると完治しません。

完治しないなんて怖いです。

小林院長:だから予防が一番大事です。マラリアには予防接種がないので、予防薬を日本で手に入れておきましょう。マラリア流行地へ渡航する際は、抗マラリア薬の予防内服を行うことが望ましいとされています。マラリア予防薬は、医師の処方が必要なので、よく相談してください。また、現地を離れてからも3週間飲み続ける必要があります。

日本にはマラリアはないのですか?

小林院長:昔は日本にもマラリアがありました。平安時代に書かれた『源氏物語』には、主人公の光源氏がマラリアにかかった記述があります。

それは知りませんでした。他に気をつけた方がいい感染症はありますか?

小林院長:日本脳炎も怖い病気の1つです。

どんな病気ですか?

小林院長:日本脳炎は、日本脳炎ウイルスにより発生する疾病で、蚊を介して感染します。極東地域から東南アジアにかけての風土病ですが、日本にありません。

日本にはないのに、なぜ日本脳炎というのですか?

小林院長:ワクチンを開発した人が日本人だったので、日本脳炎と呼ばれています。日本脳炎はワクチンで防ぐことができるので、渡航先によっては予防接種を受けましょう。感染した人間の5%が発症するので要注意です。

ハワイで気をつけた方がいい病気はありますか?

小林院長:ハワイのビーチでは、麻薬中毒者が捨てた注射針に気をつけてください。ビーチや公園に無造作に捨てられているので、触ったり踏んだりしてしまい、皮膚や粘膜から体内に菌が侵入して、病気(ワイル病、HIVや破傷風)に感染することがあります。深く刺さるとものすごく腫れて、足の切断を余儀なくさせることもあります。

うっかり踏んで、足を切断なんて怖すぎます。

小林院長:注射針を踏んだら、軽く見ないでその針を保管しておいて病院に持っていきましょう。ビーチを過信しないように。ビーチサンダルを常に履いて、裸足にならないなど自分の身は自分で守りましょう。

他にハワイで気をつけた方がいいことはありますか?

小林院長:耳にしたくないと思いますが、売春行為です。夜のワイキキに多く、相手はどんな病気を持っているのかわからないので、決して誘いにのらない、接触しないようにしてください。

日本人も被害に遭っているのでしょうか?

小林院長:売春だけでなく、置引き、強盗などの被害に遭っているので、夜は男女問わず一人で出歩かないことをお勧めします。巻き込まれると、日本とは違ってピストルを向けられることもあります。

何かあったらパニックになりそうです。

小林院長:トラブルに巻き込まれたら緊急にコンタクトをする必要があるので、現地の警察はもとより、日本語の通じる病院・クリニックや日本国総領事館の連絡先を調べておきましょう。

小林先生、いろいろと勉強になりました。ありがとうございました。
今回のまとめ

見知らぬ土地に旅行するときの心得

  1. 日本でのルーティーンを変えない
  2. 旅先の全体像を把握(街全体の位置関係を知る)
  3. 大胆な行動をしない
  4. 寝る環境は日本と同じにする(室温や寝具)
  5. 日本から食べ物を少量持参(レトルトのご飯など)
  6. 飲み慣れた胃薬、下痢薬、風邪薬などを日本から持っていく
  7. 渡航先によっては予防接種を受け、予防薬を持参する
  8. ビーチでは捨てられた注射針に要注意
  9. 夜の街の一人歩きはしない
  10. 病院や日本国総領事館の場所と連絡先を確認しておく
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2023年02月28日(火)