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「ハワイに来る人たちに知ってほしい!」(シリーズ第4弾)ハワイのかかりつけ医とは?

ハワイで「聖ルカクリニック」を開業して25年の小林 恵一院長に、「ハワイに来る人たちに知ってほしい!」というテーマで、今回はハワイのかかりつけ医制度とハワイにかかりつけ医がいたときのメリットについて教えていただきました。

第四回目のテーマは「ハワイのかかりつけ医とは?」です。

かかりつけ医と言えば、町のお医者さん的な存在で、健康に関することをなんでも相談できる開業医をイメージします。ハワイ(アメリカ)では、日本と異なるのでしょうか。ハワイに長期滞在する人も増える昨今、ハワイにもかかりつけ医がいたらいいなという声が数多く聞こえてきました。今回は、ハワイのかかりつけ医を含む医療制度について教えていただいました。

かかりつけ医って、アメリカではどういう定義ですか?

小林院長:かかりつけ医を理解しようと思ったら、先ず「プライマリケア」という言葉を知る必要があります。

プライマリケアって、何ですか?

小林院長:アメリカの医療制度は、プライマリケア(primary care)とスペシャリティケア(specialty care)に分かれています。プライマリケアというのは初期医療の意味で、かかりつけ医のことです。そしてスペシャリティケアを担当するのが専門医のことです。

最初に診てもらうのがプライマリケアですね?

小林院長:そうです。患者さんは、体調が悪いとまずプライマリケア医(Primary Care Physician / PCP=かかりつけ医)に相談します。ある程度(初期の治療)までかかりつけ医(PCP)が患者さんを診て、必要であれば専門医を紹介します。かかりつけ医(PCP)というのは、オーケストラの指揮者みたいな存在です。

オーケストラの指揮者とはどういうことですか?

小林院長:患者さんの病状を診断して、心臓に異常があれば心臓病の専門医、骨が折れていたら整形外科医と、病状に合わせて患者さんをオーケストラの指揮者のように巧み振り分け、スペシャリティケア(専門医)に送ります。

オーケストラの最大限の力を引き出すのが指揮者なら、かかりつけ医(PCP)は最適な医療を引き出す人なのですね。

小林院長:そうなんですよ。とても重要な役割を担うかかりつけ医(PCP)は、医学的な事象の約7割を扱っています。

という事は、残りの3割がスペシャリティケアですね。

小林院長:そうです。さらに難しい専門的なことは、スペシャリティケア医に任せます。かかりつけ医(PCP)の仕事は、道路の交差点などで歩行者や車両の交通を整理する交通整理にも似ています。

医療の交通整理係りが、かかりつけ医(PCP)なのですね。いろんなたとえがあっておもしろいです。ところで、日本では耳の調子が悪ければ、耳鼻科に直接行っていましたが、アメリカは違うのですか。

小林院長:耳や鼻の不調はまず、かかりつけ医(PCP)が診ます。そして専門性の高い治療が必要と判断すれば、スペシャリストを紹介します。

病気になったら、まずはかかりつけ医(PCP)に行くが鉄則ですね。

小林院長:普段から診てくれて、相談にのってくれる身近な医師による医療が、かかりつけ医(PCP)の仕事。他にも、専門医を評価するのもかかりつけ医(PCP)の仕事の1つです。

会社の上司や大学の教授のように評価するのですか?

小林院長:たとえば、かかりつけ医(PCP)が、手術を必要とする患者さんを専門医に送ります。送った先の専門医が手術に成功したのか、しなかったのかなどの最終結果をかかりつけ医(PCP)が事後評価(エバリュエーション)します。かかりつけ医(PCP)達はその実績を見て、成績の良くない専門医には自分の患者さんを送らないといったこともするのです。

確かに、手術の下手なお医者様のところには行きたくないです。

小林院長:患者さんのために、事後評価を正しく行います。手術などについて、それがいい仕事だったのかどうかという判断は素人にはわかりませんので、かかりつけ医(PCP)が医学的見地から見て、妥当かどうか判断するのです。

とても大事な役割ですね。

小林院長:想像してください。もし私が専門医で、手術をすればお金をたくさん儲けられるような立場だとします。目の前に来た患者さんの手術をすれば大儲けできる。

高度な技術が必要な手術は、確かにお金が儲かるでしょうね。

小林院長:大抵の専門医は、お金も儲かるし腕試しにもなるので、手術をしたいですよね。もしも、患者さんが外科に直接行ったら、たいていの外科医は手術を勧めるでしょう。それに対して、最初にかかりつけ医(PCP)に行って、その患者さんは「手術の必要性はない」と診断されたとします。患者さんは不必要な手術代を払う必要はなくなります。

手術不要ですか!?患者さんにとっては、それが望むところですよね。

小林院長:手術をしないで治療できる場合もあるのです。無用の手術をさせないためにも、かかりつけ医(PCP)がきちんと診断し、専門科での手術の必要性の有無をチェック&コントロールするのです。

ハワイの旅行者などが、かかりつけ医(PCP)をもつメリットはありますか?

小林院長:旅先で起こることの70%はかかりつけ医の範疇の医療です。何かあったときに、かかりつけ医(PCP)がいれば、言葉の不自由な外国でもすぐに対応してくれるので安心です。

他にもいいことありますか?

小林院長:無理がききます。かかりつけ医なら、何かトラブルに巻き込まれて、保険の申請やいろんな手紙・書類を書いてもらう必要に迫られた場合、患者の立場になって話をよく聞いて、最も有利になるように書いてくれるでしょう。地元の人であれば、仕事がらみの障害保険などの申し込みの時に、自分の言い分を反映して書いてくれます。

トラブルにあうとパニックになってしまうので、それを助けてくれるかかりつけ医(PCP)が海外にいると安心ですね。

小林院長:かかりつけ医とのコミュニケーションをしっかりとり、自分の体や薬のデータを全部持ってもらう。そうすれば、何かあったときに専門家にすぐに紹介してもらえるし、必要な資料も患者さんの立場に立った内容を書いてくれます。

すでによく自分のことを知ってくれているので、親身になってくれるのですね。

小林院長:これがかかりつけ医を持つ1番の強みですね。

どうやって見つけたらいいのでしょうか?

小林院長:地元の人たちは、口コミが大多数ですが、旅行者はできるだけいろんなメディア等を使って医師の評判を調べましょう。そして実際に会ってみて、自分が感じている症状を伝えやすいか、自分の健康状態を相談しやすいかなど自分との相性をみてください。

先生なら、どんな人がかかりつけ医(PCP)だったらいいなと思いますか?

小林院長:コミュニケーションがうまく取れる人ですね。やたらおっかない先生がいるでしょ(笑)。怖いし、しゃべるとすぐ怒るとか。そういう人とは、まともにコミュニケーションが取れないですよね。自分が感じている症状や健康状態を相談しやすい、気さくに話せる人がいいですね。

なるほど。私も怖い先生はいやです。

小林院長:人柄だけではなくて、医学的実力も大事ですよ。性格がいいのと医学的な知識がないのとなら、医学的な知識のある人が性格よりも優先です。ニコニコして人はいいのだけど、実力的に知識も何もない人は困ります。しっかりした実力を持ってる医師を選びたいですね。

最近(2023年1~5月)ハワイに旅行で来られている方で、先生が対応されて1番多い病状は何でしたか?

小林院長:ワイキキクリニックでは、1位:コロナ、2位:風邪、3位:外傷です。まだコロナは収まっていないようです。風邪と思って調べてみたらコロナだったというケースが多いので、油断できないですね。ハワイ在住者では、1位:精神的な問題、2位:がんなどの病気の発見となります。

がんを最初に見つけてくれるのは、かかりつけ医(PCP)なんですね。

小林院長:かかりつけ医(PCP)がしっかり診ますので、調べればわかります。

ハワイの人は陽気で心の問題は少ないかと思っていました。意外ですね。

小林院長:精神的な問題を抱えている人の割合は結構多いですよ。ただ会いに来るだけの人もいます。かかりつけ医(PCP)としゃべるとホッとするという人もいます。

日本はどの病院でも診てもらえるのですが、アメリカは保険の種類によっては診てもらえない病院があるのが不満です。

小林院長:日本の制度(国民皆保険)の優れているところですね。アメリカには日本のような国民皆保険という医療保障制度はなく、多くのアメリカ人は数多くある民間医療保険を購入しています。だから、補償内容も診てもらえる病院も様々です。

小林先生のところは良心的とよく耳にします。

小林院長:この患者さんの保険では、診療報酬が低いから診察しないというようなことはしませんよ。

具体的にどういうことですか。

小林院長:ある保険会社の保険では、ひとりの患者さんに何回点滴をしても、月に25ドルしか病院には入りません。しかし、うちのクリニックでは、必要であれば何度でも患者さんに点滴をしてあげます。一週間、ずっと点滴をしてあげても、病院に入るお金は月に25ドル。病院が維持する点滴の機械はとても高額ですが、必要であればたとえ診療報酬が安くても、患者さんには適切な治療を行います。

治療と報酬の割が合わない気がしますね。

小林院長:私個人としては、ご飯が食べられて屋根があるところに住めれば、それでいいかな。そんな心境で診療しています。

屋根があればいい(笑)?

小林院長:はい。そう思っていい医療を必要なだけ患者さんに提供すれば、お金は自然についてくる。そういった心境です。

ところで、ハワイ在住の日本人は、年を取ると日本に帰ることが多いですよね。

小林院長:それはアメリカの医療費が高すぎるのです。ナーシングホーム(老人ホーム)に月1万ドル(約135万円:為替レート1ドルが135円の場合)かかります。

え~!大金持ちしか、ナーシングホームには入居できないじゃないですか。

小林院長:それに比べると、日本は介護保険などが充実していて、適切な料金で老人ホームにも入居できるからいいですね。

それは帰ってしまいますね。

小林院長:アメリカにはいろんな国から移民が来ますが、いったんアメリカに来たら母国に帰らないのが一般的です。でも唯一日本人だけは、ある程度の年齢になったら日本に帰ると言います。帰れないような国ではない日本。やっぱり日本はいい国なんですよ。

本当にそう思います。ところで、かかりつけ医(PCP)は基本、内科ですか?

小林院長:インターナルメディスン(内科)の他に、ファミリー・プラクティス(専門家庭医)と呼ばれる新生児からお年寄りの方まで幅広い年齢層の様々な症状を診察するドクターもかかりつけ医(PCP)になれます。産婦人科医もなれます。

眼科、皮膚科はスペシャリストなんですね?子供にニキビができたとき、小児科から皮膚科を紹介された経験があります。

小林院長:かかりつけ医(PCP)が診て、ニキビの薬を出すこともあります。ものすごく難しい、たとえば皮膚結核とか専門性の必要とする病状でない限り、かかりつけ医(PCP)でも対応可能です。結膜炎などのちょっとした病気は診察可能ですが、白内障など専門知識が必要な治療・手術もあるので、眼科は別です。

耳鼻咽喉科はどうですか?

小林院長:耳鼻咽喉科は頭頚部外科とも言い、大変専門性が高いのです。

耳あかをとってもらうのは?

小林院長:耳あかを取るのは耳鼻咽喉科です。意外にも耳あかは取れにくいのですよ。耳鼻咽喉科には専門の機械があるので、その機械で処置してもらうがベストでしょう。

ハワイに住んでいる人で、かかりつけ医(PCP)のいない人はいますか?

小林院長:たくさんいるんですよ。かかりつけ医(PCP)という制度をご存じないのでしょう。でも今回のテーマで、かかりつけ医(PCP)について知ってもらい、適切な医師を見つけてほしいですね。

先生のクリニックには多くの医師が在籍されていて、女医さんやナースプラクティショナー(診療看護師)、カウンセラーもいらっしゃっいます。患者さんにとっての選択のチョイスが多いですね。

小林院長:そうですね。特にうちは、精神科の役目を果たせる医師とカウンセラーが協業するので、カウンセラーが薬を出すことも可能です。もし、心の悩みがあるのであれば、安心して相談に来てほしいです。何でも相談できる医療の窓口が「かかりつけ医(PCP)」だと、覚えておいてください。

最後に、小林先生のクリニックの診療内容を紹介しておきましょう。
  • 家庭医学と内科
  • 薬局
  • 女性の健康サービス
  • 内分泌学 糖尿病
  • 高齢者の健康
  • カウンセリング
  • 移民の健康検査
  • 留学生の健康診断、健康管理
  • 予防接種各種
  • 修学旅行付き添いサービス
小林先生、いろいろと勉強になりました。ありがとうございました。
今回のまとめ

ハワイにかかりつけ医がいたときのメリット

  1. 海外なのに身近に医師がいる安心感が得られる
  2. 健康に関することをなんでも相談できる
  3. 自分のデータ(薬やアレルギーなど)をすべて保管してくれる
  4. 必要な時には専門医、専門医療機関をすぐに紹介してくれる
  5. ハワイは日本語の話せる医師もいるので、医療の専門用語が分からなくても安心である
  6. 旅先で限られた時間を有効に使える
  7. 保険会社への請求など、公的資料をすぐに書いてもらえる
聖ルカ クリニック ワイキキ
St. Luke's Clinic - Waikiki
緊急医療Urgent Care、及び、PCR検査および検査証明書の発行サービス
(808) 773-7097

ワイキキ・ショッピングプラザ2階(Suite208)
2250 Kalākaua Ave, Honolulu, HI 96815 (Directions)

営業時間
月~金 8時30分~15時30分
土曜日 8時30分~14時00分
日曜日 定休日

※基本、予約制ですが、ウォークインも受け付けています。

聖ルカ クリニック アラモアナ
St. Luke's Clinic - Ala Moana
外来クリニックサービス、緊急医療Urgent Care、及び、PCR検査および検査証明書の発行サービス
(808) 945-3719

アラモアナ・ビルディング20階(Suite2000)
1441 Kapiolani Blvd, Honolulu HI 96814 (Directions)

営業時間
月・火・木・金 8時30分~12時00分
13時00分~15時30分
水・土 8時30分~12時00分
日曜日 定休日

*基本、予約制。

2023年05月17日(水)