びびなび : ハワイ : (アメリカ合衆国) Hawaii

ワイキキから車で約20分。ローカル感漂うカイムキの街角にひっそりと佇み、いつも人の出入りが絶えない気になるお店があります。そのお店が「ザ・ローカル・ジェネラルストア」。ベーカリーと精肉店がひとつの空間をシェアするユニークなお店で、食のプロであるローカル夫婦が切り盛りしています。

オーナーであり、ブッチャーのジェイソンさんとペイストリーシェフのハーリーさんご夫妻はハワイ生まれ・ハワイ育ちの生粋のローカル。ファーマーズマーケットやポップアップからスタートし、初めてポップアップを開いた思い出深いカイムキの一角に念願のお店を構えました。和やかな空気が漂う店内は、初めて訪れてもどこか懐かしさと親しみやすさが伝わってきます。

エントランスを背に右が精肉、左がペイストリーのコーナー。カウンターにはオリジナルグッズやローカルブランドのグルメアイテムも並んでいます。窓際にはテーブルと椅子が設置されているので、店内での飲食も可能です。

ハーリーさんは、大学進学のためハワイからサンフランシスコへ移り生物学を専攻。医療分野でのキャリアを追求していましたが、ベイカーとして働きたいという想いを抑えきれず、サンフランシスコのベーカリーやアイスクリーム店で技術を磨き、ペイストリーシェフに転身した異色の経歴の持ち主です。

毎朝焼き上げるペイストリーは、バターモチ・デニッシュや季節野菜のデニッシュ、ハワイ産バナナをたっぷり使ったバナナブレッドなど、ハワイらしさと遊び心が感じられるメニューがラインナップ。

「自分たちが育ったハワイの味や思い出を形にしたい」という思いをレシピに落とし込んだペイストリーはどれも絶品！ とくにバターモチ・デニッシュはさっくりとした生地に、軽いホイップと濃厚なリリコイ風味のバターモチの味わいがレイヤーになって口に広がり、やみつきになる美味しさです。また、自家製チャーシュー・デニッシュは、ハワイ風肉まんのマナプアをイメージして作られた一品。ほかにはないユニークな発想のペイストリーが楽しめます。

野菜やフルーツを使ったペイストリーは農家の仕入れ状況によって内容が変わり、時期によってメニューも入れ替わります。すべてのペイストリーに、最低ひとつはローカル食材を使うのがこだわりのひとつ。

クッキーなどの焼き菓子も地元食材を使用。甘い系もセイボリー系も素材の良さをシンプルにかつ最大限に引き出した味わいが人気です。クロワッサンなどは発酵時間が長いため、売り切れ次第終了なので早めの来店がおすすめ。

精肉を担当するジェイソンさんは、ハワイ大学で生物学を学び海洋保護の仕事を経て、料理の道へ。カイムキの人気店「マッド・ヘン・ウォーター」で食のサステナビリティへの関心が高まり、カリフォルニアのブッチャーショップで動物全体を加工・活用する技術を習得しました。

店頭に並ぶのはすべてハワイ産の肉。毎日店で切り分けられた新鮮な牛・豚・羊は圧巻で、BBQや特別な日のごちそうにもぴったりです。

お店の奥にある冷蔵庫内には、保存しやすいよう真空パックになった肉やハンバーガー用のパティが並び、見ているだけでいろいろなレシピが頭の中に浮かんできます。

精肉工程で出た骨や端材も無駄なく加工。余った骨は水でじっくり煮込んだ自家製ビーフストックやチキンストックとして販売しています。美味しいパスタが時短で楽しめるラグーソースにも注目！

プリっとした自家製ソーセージや、ハワイ食材「ウル（ブレッドフルーツ）」を使ったコーンビーフハッシュ、スクラップル（肉の端材などを煮て固めた料理）など、ここでしか出会えないローカル加工品も魅力。持続可能な姿勢を貫きつつ、ていねいに仕込まれた肉とデリ製品はどれも品質抜群です。

店頭ではブレックファスト・サンドイッチと日替わりサンドイッチも販売。どちらもジェイソンさんのデリ製品を使用し、日替わりサンドイッチはメールマガジンやウェブサイトで毎週メニューが更新されます。夫婦のコラボが味わえるサンドイッチもマストチェックです。

地元文化を大切にし、食材を無駄にせず、丁寧に日常の食卓に届ける——。そんな姿勢が、ローカルの人々に愛される理由なのかもしれません。ハワイの食材を使って美味しいものを提供するだけでなく、農家や酪農家と連携し「持続可能な食の未来」を見据える同店の取り組みは、購入者の意識にも変化をもたらし、お店から「幸せな食物連鎖」が広がっています。観光地では出会えない、ハワイらしさあふれる食の世界をぜひ体験してみてください。