散策途中に立ち寄りたい、ワイキキにあるパワー/ヒーリングスポット

ハワイは元気をもらえるスポットや癒しパワーのあるスポットの宝庫!オアフ島にも、古代から人々が大切に守ってきたスポットが、各地にあります。今回は、気軽に散策の途中で立ち寄れる、ワイキキにあるパワースポット、ヒーリングスポットをご紹介します。

古代からヒーリングスポットとして使われてきた「カヴェヘヴェ」ヘ

(ハレクラニホテルから見た海)

ワイキキの中心部から少し西側、ハレクラニホテルの前に広がる海は、かつて「病気を治す海」として、首長や王族達も訪れた所です。海底から真水が湧き出ていることで、真水と海水が混ざり合っている所で、ハワイアンの伝統的な考えでは、そのような所では、「マナ」を回復、または強くすることができるとされています。

「マナ」とは「超自然的な力」のことで、全ての生物、大地、自然、物が持っているものだと、古代ハワイの時代からハワイアンが信じてきたものです。自身のマナを強く保つために、いわゆるパワースポットに行ったり、マナを弱めるような行動を行わないなど、人々の生活にマナは深く関わっています。

体の不調を感じた時、病を患った時にこのカヴェへヴェへの海に向かい、海藻で作ったU字型のレイを首にかけ、静かに海に入っていきます。首まで浸かったところで、レイが自然に首から離れた時、「病気」が体から除去されたとされました。ちなみに、カヴェへヴェへとは「除去する」という意味があります。

ヒーリングパワーが込められたとされる「カパエマフ・ストーンズ」

カヴェへヴェへから、ダイヤモンドヘッド方面に少し歩くと、両手を広げたデューク・カハナモク像が見えてきます。

このデューク像のすぐ横に、巨大な石が4つ、柵に囲まれて据えられています。

(手前に二つ、奥に二つの巨石が置かれています。)

この石の歴史は1500年代にまで遡ります。その頃、ハワイの南にある島「タヒチ」からハワイに渡った、現代の医師にあたる4人が、ワイキキの地で暮らしながらハワイの人々の病気の治療を行っていたといわれています。

ちなみに、ハワイはどこからも海を隔てて離れているため、古代のハワイには病の元となるウイルスやバクテリアが上陸することがなく、病気になるということは、人を憎んだり、羨んだりする気持ちなど、精神的なものが原因となる、と考えられていました。

そのため、この4人は現代のカウンセラーと同じ役割も果たしており、悩みや思いを聞き、痛みがあれば祈りと共に手を患部に添え、植物を組み合わせて作った薬を患者に与えました。そして、彼らがタヒチへと帰る際に、それぞれが持っていた「ヒーリングパワー」をこれらの石に移した、という伝説が残されています。

ハワイの人々は痛みを取り除くために横たわったり触ったりしながら、これらの石を大切に引き継いでいました。ハワイがアメリカに併合された後に行方不明になってしまいましたが、その後発見され、現在は柵に守られています。ぜひこの場所で足を止めて、この石が持つヒーリングパワーを受け止めてください。

海での安全を祈願するために人々が通った「ダイヤモンドヘッド」

年間100万人もの人々が訪れるダイヤモンドヘッドは、ハワイアンにとって非常に大切な場所で、1900年代初頭までに、神殿にあたる「ヘイアウ」が少なくとも4つあったとされています。

(カピオラニパークから見えるダイヤモンドヘッド)

その内の一つ「パパエナエナ・ヘイアウ」は、海側の、ワイキキを見下ろす斜面に造られていました。海の様子を観察する場所でもあり、海に出ると危険な時、安全な時を「凧」を揚げて人々に知らせる、ということも行われていました。この場所は、王族や首長たちをはじめ、サーフィンをする人々が、海での安全を祈願しに訪れていた所でもありました。

また、時代によっては戦争の神が祀られ、人の生贄が捧げられた場所でもあります。ハワイ島出身のカメハメハが、ハワイの島々を統一して大王となった時には、ハワイ王国で最も重要なヘイアウだと位置付けられたのが、このパパエナエナ・ヘイアウでした。

西洋人がハワイに上陸して以降、当時の王国の統治に関わっていた女王が、ハワイをより西洋化した国にするために、1819年、ハワイの伝統的な生活規律を終える宣言を発しました。それ以降、数々のヘイアウもその役割を終え、破壊されてしまいます。パパエナエナ・ヘイアウの土地は売られ、実業者が豪華な邸宅を建てて自宅として使った後、現在は女子校となっています。

ダイヤモンドヘッドは、冬場は日の出を頂上から眺められるということで、早朝から賑わいます。古代から神々が祀られ、人々が祈願のために訪れていたダイヤモンドヘッド。太陽からのパワーに加え、古代の人々が信じた神々の力も受け止めながら、山頂を目指してみてはいかがでしょうか。

現在は立派な観光地として、華やかな印象のあるワイキキも、かつては人々が住み、今回ご紹介したように、健康のため、安全のため、通った所がありました。その思いは、今を生きる人々も同じ。ワイキキを気軽に散策しながら出会えるパワー/ヒーリングスポット。古代の様子を思い描きながら、ぜひ訪れてみてください。

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ABOUT WRITER
さゆり ロバーツ

東京生まれ。英会話講師を経て、2006年より「ワイキキ・ダウンタウン歴史街道ツアー」の主宰者、および、ハワイ州観光局公認講師として、ツアーや講演活動等を行う。テレビやラジオ、雑誌等、メディア出演多数。趣味は旅行とカフェ巡り。