行ってきました!ハワイで楽しむ利き酒イベント Joy of Sake

先月ハワイコンベンションセンターで開催された日本国外最大級の日本酒イベント、Joy of Sakeに行ってきました!このイベントは、グルメ好きのロコ達には見逃せない年一度の恒例行で、今年は約1300名が来場したとのこと。老若男女様々な人々の熱気を感じてまいりました。

「なぜハワイで日本酒のイベントがあるの?」「何で日本関連のイベントにこんなに人が集まるの?」そんな疑問に答えるべく、このイベントの魅力をお伝えしていきます。

切っても切り離せないハワイと日本酒の関係

かつてハワイには酒蔵が十数社もあったのをご存じですか?

ハワイの日系移民の歴史は、慶応から明治に年号が変わった1868年に始まりました。この年、横浜港から海を渡った150人の移民たちは、後に「元年者」と後に呼ばれるようになりました。

サトウキビ産業が盛んだったハワイに、その後もたくさんの日本人が労働者として移民。皆「数年間ハワイでお金を稼いで帰国しよう」と夢見てやってきたのです。しかし、現実は安い給料と休みのない重労働で、生活はとても厳しいものでした。そんな過酷な日常と故郷を懐かしむ気持ちを癒すのに、日本酒は必要不可欠なものとなっていたのです。ですが、日本から輸入するお酒は非常に高価。そのため、現地で日本酒を造りたい、という需要から、数々の酒蔵が生まれていきました。しかし、第二次世界大戦や禁酒法などもあり、時代と共に州内に十数軒あった酒蔵は次々と廃業。1989年、最後に残った酒蔵、ホノルル酒造製氷会社も閉業となりました。

ハワイと日本酒の関係は、ここで一度途絶えたかのように見えましたが、実は、人々の心の中でその絆は明かりを灯し続けていました。それを繋いでいったキーマンが、ホノルル酒造製氷会社の副社長だった故・二瓶孝夫氏です。

日本国外最大の日本酒イベントの誕生

国際酒会によるハワイの日本酒の歴史展示

二瓶氏はホノルル酒造の酒質改善のために日本から招致された技術者で、現在の酒造りにも多大な影響を及ぼす功績を沢山残されています。また、技術者として優れていたのみでなく、日本酒をこよなく愛す情熱的な人物でした。この二瓶氏のカリスマ性に惹かれ、師と仰ぐようになったホノルル在住の日本酒愛好家の団体、国際酒会のメンバーたちが、二瓶氏の逝去後、氏の想いを継いで米国で日本酒の魅力を伝えるためにスタートしたのがJoy of Sakeです。会場にはこの国際酒会による「ハワイにおける日本酒の歴史」の展示がありました。

国際酒会の方々とミス日本酒2022の磯部里紗さん

国際酒会のメンバーは、2001年、Joy of Sakeと同時に全米日本酒歓評会という日本酒の審査会を始めています。毎年、日本と北米から日本酒に精通した専門家を審査員として招き、酒瓶が目に触れない厳正な方法で審査が行われています。Joy of Sakeは、この審査に出品された全ての日本酒の一般公開利き酒会という位置付けで開催されています。

576銘柄の日本酒を自由にテイスティング

さて、全出品酒というと、一体何銘柄あると思いますか?何と今年はその数、576でした!そのため、来場者が酔い過ぎないよう、飲み水が会場のいたるところで配られていたり、スポイトで少量ずつ自分のお猪口に注ぐ試飲形式が取られたりしています。日本酒好きを自負する筆者もさすがに全制覇は無理でしたが、数十種類のお酒を利いてまいりました。

試飲テーブルは、精米歩合(注:どれくらいお米を削って造るかの割合)により分類される全米日本酒歓評会の出品部門ごとに分かれています。一番人気は、お米を半分以上削って芯の部分のみで醸した高級な大吟醸酒が味わえるテーブル。大吟醸酒は比較的軽めで華やかな香りのものが多く、普段日本酒は飲まない、という方にもお勧めです。お酒だけ単独でいただいても美味しいですし、料理と合わせるなら、どちらかと言うと淡白な味わいのものが好相性です。

逆に、精米歩合が大吟醸ほどは高くない純米酒は、どっしりしたお肉系のお料理とともに、などという一般的なセオリーはありますが、ワインのように酸味の強くない日本酒は、実はどんなお料理にも合うのです。Joy of Sakeは、そんなオールマイティーな日本酒の魅力を、実際に様々な料理と一緒に味わうことによって実体験し、日本酒ファンの裾野を広げていく、というミッションを持って非営利目的で行われています。

576銘柄以外にも、蔵元さんや酒販店の方と交流しながら試飲ができるスポンサーブースも6つありました。酒造りの背景のお話を伺いながら味わうと、美味しさが倍増します。

宮城県の内ヶ崎酒造店の内ヶ﨑啓さんと来場者

ハワイに30年ぶりに開業した酒蔵、Islander Sake Brewery Hawaiiのブースも

日本酒イベントがロコ達に大人気のわけ

アメリカでの日本酒人気の高まりもあり、このイベントは毎回1000人越えの大盛況が続いています。特に今年は、チケットが開催3週間前に売り切れてしまうほどでした。日本酒のイベントが、なぜハワイでこれほど人気なのでしょうか。

その理由の一つが、グルメファンも歓喜するフードブースのラインナップにあります。Joy of Sake Honoluluでは、ハワイの人気シェフ達が、このイベントのためだけに創作した日本酒に合うアペタイザーを一品ずつ提供。ハワイ中の一流シェフの料理が一度に味わえる滅多にない機会と言うことで、美味しいものに目のない現地の人々に大好評なのです。

今年の参加レストランは全部で17店舗。敏腕シェフたちによる一夜限りのメニューを一部ご紹介したいと思います。

Robata Jinyaの「コナカンパチと海老のセビーチェ」

Hoku’sの「キアヴェでスモークした豚バラのお茶漬け」

個人的にヒットだったのが、こちら。カカアコにあるRobata Jinyaの「コナカンパチと海老のセビーチェ」。絶妙なスパイシーさとほんのり香るパクチーが、スッキリ目の吟醸酒によく合いました。そして、もう一つのお気に入りは、カハラホテル&リゾート内のレストラン、Hoku’sの「キアヴェでスモークした豚バラのお茶漬け」。お茶漬けの概念を吹っ飛ばす逸品でした。

「シーフードパエリア」をサーブするVikram Gargシェフ

Joy of Sakeではオープンしたての新ストランにも大注目!元ハレクラニでシェフを務めたVikram Garg氏がつい先月オープンしたUmi by Vikram Gargによる一品は「シーフードパエリア」。こんな大きな鍋あるの?とビックリです。そして、3月に西オアフに登場したばかりのKitchen Door Napa in Wai Kaiの「シアード・アヒ(マグロ)」も隠し味のトマトジャムが絶妙。どちらもぜひお店に行ってみたい!と思わせる実力派のお味でした。

今回紹介した以外にも、素晴らしい創作性が発揮された料理ばかりで、お酒の旨味との相乗効果を楽しめました。

異文化の融合を華やかに楽しんで

オープニングセレモニーのパフォーマンスの様子

鏡開きとカンパイでイベントスタート

このイベントのもう一つの人気の理由が、ハワイと日本の文化が融合したユニークな雰囲気です。開場前のセレモニーでは。沖縄太鼓やカラフルな獅子舞のパフォーマンスで気分最高潮になってからドアがオープン。メイン会場内の飾り付けは和風の真っ赤な傘でしっとりと。そして、Izakaya Alleyと呼ばれる隣接パティオエリアは縁日のような提灯の飾りつけでワクワク気分に。このように演出された空間で、最高品質の日本酒を一流シェフの料理と共に味わえる機会は滅多にありません。

縁日のような雰囲気のIzakaya Alleyの様子

さらに今年は、世界に向けた日本酒のアンバサダーであるミス日本酒(Miss SAKE)2022の磯部梨沙さんも日本からはるばる参加され、会場はさらに華やかに。偶然にも、会場に遊びに来ていたMiss Hawaii 2022のLauren Teruyaさんとの豪華ツーショットが撮影できました。

ミス日本酒 2022磯部梨沙さんとMiss Hawaii 2022 Lauren Teruyaさん

今年は再び「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産にと提案をされています。日本が誇るべき伝統である日本酒が、このようにハワイの人々に嗜まれていることを日本人として大変嬉しく感じたイベントでもありました。次回のJoy of Sake Honoluluは、来年2月23日に開催されるとのこと。今から楽しみです。

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デコスタなおこ

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