愛され続けて120年。ワイキキ水族館へ行こう!

国際的な観光都市ワイキキの東端に位置する広大なカピオラニ公園。その公園のビーチ沿いに建つのが、ハワイの美しい「海の窓」と呼ばれるワイキキ水族館です。皆から愛され、来年(2024年)120年を迎える水族館は、ハワイ独特の固有種や南太平洋に生息する400種を超える魚たち、そして珍しいサンゴ礁など見どころいっぱい!では早速、ハワイ唯一の水族館を探索してみましょう。

エントランスではユニークな3つのオブジェがゲストをお出迎え!ずんぐりとしたフォルムと温かみのあるカーブが可愛らしい彫刻は、好奇心旺盛なキッズから「これ何?」とよく質問されるそうです。これらは、日本人アーティスト、金子潤さんが2000年に制作したセラミック作品「トロピカルサウンド」で、熱帯ハワイの海、空、太陽、植物、海洋生物を象徴した代表的なパブリックアートで、ワイキキ水族館のシンボルになっています。

では、早速中に入りましょう。

水族館は、室内と野外に分かれています。館内の入り口には、9か国語対応の無料音声ガイドの案内板があるので、QRコードを読み取ってから、日本語の案内を聞きながら館内を探索しましょう。これで、英語が苦手な人でも安心です。

では、下記のマップの右側ダークブルーのエリア(EWA側)の館内からテーマ別にご案内しましょう。

展示1: サンゴ礁って生きているんだ!「The living Reef」

まるで、きれいな絵画を壁に並べたようなコーナーには、様々な種類のサンゴ礁が展示されています。

小窓を覗くと、カラフルなソフトコーラルと呼ばれるサンゴ礁がピクピク、ひらひらと動き、確かに生きているのがわかります。

サンゴ礁の役割は、生物の住み家となりエサとなることなんて聞くと、ちょっぴり悲しいけど、「海のオアシス」と呼ばれ海の生態系の維持に役立っているのは事実。強い潮の流や高波を和らげる防波堤としてのバリアともなって、海岸も守ってくれている「海の守り神」がサンゴ礁。それなのに、今では地球温暖化による水温の上昇でサンゴ礁が白化し、失われてきているのが残念です。

展示2: 南太平洋に住む400種類の魚たち「south pacific marine community」

ハワイの海を完全に再現したギャラリーを見てまわりましょう。

ここに展示されているのは、熱帯の海岸線に沿ってよく見られる生きたマングローブ林とそこに生息する生き物たちです。地球温暖化の主要因と言われる二酸化炭素(CO2)をマングローブ林が吸収し蓄えることで地球温暖化の抑制に役立つうえ、高波や津波等の自然災害から人々の生活や生態系を守る「みどりの防波堤」の役割を果たしています。

次は、カクレクマノミやイソギンチャクなど、サンゴ礁で見られるさまざまな生物を紹介しましょう。イソギンチャクの生きた絨毯の中に数十匹のカクレクマノミが生息。一目見るとアニメ映画『ファインディング・ニモ』を誰もが思い出すのですが、実はニモは「カクレクマノミ」ではなく、「クラウンアネモネフィッシュ」と言われる魚で住んでいる場所が違うとのことです。

ラグーン サンゴの展示には、流れの中で優しく波打つ大きな肉質のポリプを持つさまざまな生きたサンゴや、沖合のサンゴ礁で共棲する魚が見られます。

ハイライトは、100 種以上の魚、シャコガイ、生きたサンゴが展示されている 5,500 ガロンの水槽の中のバリア リーフの展示です。バリアリーフとは、島や大陸の海岸線に沿って、陸地を外洋の荒波から守る形で連なっているサンゴ礁のこと。ここでは、インタラクティブなタッチ スクリーンを使用して、展示内の海の生物を識別し詳しく学びます。

展示3: 目を奪われるクラゲの優雅な動き!「Jellyfish」

これぞ海のアーティスティック・スイミング!自由にそして優雅に泳いでいるのは、ミズクラゲ、タイセイヨウウミイラクサ、ラグーンクラゲ、シロホシクラゲ、ブルーブラバーたち。

水槽は水流が一定になるように特別に設計されているので、クラゲが常に動き続けられます。孵化したばかりのシュリンプが、ウミクラゲのごはん。1日3回餌が与えられているので、運が良ければクラゲが生きた餌をつかみ、それを胃の中に移す瞬間を見ることができるかも!

展示4: ハワイの海が生まれ故郷!名前がめちゃ長い魚「Hawaiian marine community」

ハワイで最も長い名前を持つ魚は「ラウウィリウィリ・ヌクヌク・オイオイ」。この魚は科学的に記載されたハワイ最初の魚で、別名フエヤッコダイ。このエリアはハワイの貴重な固有種がみられます。

他にも珍しい魚が目白押し!

英名はエンペラーエンゼルフィッシュ。漢字にすると「皇帝天使魚」。堂々と泳ぐ姿は確かにエンペラー!

前頭部に角状の突起があるテングハギ。

展示5: 海に潜むハンターたち「hunters on the reef」

人を襲うサメはほとんどいないのですが、運悪く襲われたらそれは、黒いウェットスーツを着て泳ぐ人間をエサと間違えてしまったのかも。 サメはアシカやアザラシを食べるので、海中のサメにとってみれば、黒いウェットスーツのダイバーは、アザラシに見えるのでしょうね。世間でよく言われる「人食いザメ」なんて実はいなくて、サメから見たら人間は「カメ」なんですって!

残念なことに、今サメたちは、世界の多くの地域で乱獲されていて、絶滅危惧種リストに掲載されています。サメはハワイ文化の中で重要な存在で、総称して「マノ」として知られています。サメの歯のハワイアンジュエリーを見たことがありますか?神聖なお守りとして魔除け・厄除けとして使われます。ここではトラフザメやタカマイ、カスミアジが見られます。

展示6: タツノオトシゴはかくれんぼ上手!「diversity and adaptations」

どこにいるの?人の目をごまかして、毒やよろいなど、さまざまなテクニックを駆使して餌を見つけては生き残るタツノオトシゴ(シーホース)。日本でもそのユニークな姿で人気者です。食うか、食われるか、生き残りをかけた驚くべきテクニックで隠れています。どこにいるのか見つけるのが楽しい!

こちらはシードラゴン。タツノオトシゴより大きめです。

展示7: 居場所がなくなり消滅する海の生き物たち「marine protected areas and conservation」

ここはワイキキ水族館で唯一の淡水魚が見られるエリア。ハワイ固有の淡水河川や湖にいるハゼやエビ、そしてカラフルな熱帯魚を紹介しています。

さてここからは、外に出ましょう!海に面して作られた展示コーナーです。

展示8: 全部見つけて、ステッカーをゲット!「Edge of the Reef」

お魚たちと距離感ゼロで触れあえることで、子供に人気なのが『エッジオブザリーフ』。ハワイの岩だらけの海岸沿いに見られる生息地を再現した大型屋外ギャラリーです。

今は、コロナの感染予防のために直接、魚たちに触ることはできませんが、代わりに魚たちを見つけるゲームが実施されています。全部見つけたらステッカーがもらえるので、子供たちは大喜びでカードと同じ魚を見つけようと必死。遊びながら学ぶことができるエデュテインメントとして、水族館で最も長く継続的に開催されています。

テングハギ、キイロハギ、ブダイ、チョウチョウウオ、イネサンゴ、ナマコ、真っ赤なペンシルウニなどがすぐ目の前で見られます。

ハワイの潮だまりで見られる生物を間近で観察できるインタラクティブなエリアも組み込まれています。知識豊富な水族館のボランティアが、丁寧に説明してくれるから安心です。

展示9: 絶滅危惧種!ハワイアンモンクシール「Hawaii's unique marine mammal」

日本語ではアザラシと呼ばれ、馴染みのあるハワイアンモンクシール。世界で最も絶滅が危惧される海洋性哺乳動物として、ハワイでも保護の対象です。(残念ながらこのコーナーは現在、改装のために一時休止) 早くかわいいモンクシールに会いたいですね。

展示10: 動き回る大量の魚の群れに圧倒されっぱなし!「ocean aquaculture」

野外に設置されているのが、地元ではモイとして知られている食用魚として評価の高い「シックスフィンガードスレッドフィン」の巨大な水槽。 かつてハワイの養魚池で、王族専用の食糧として飼育されていた支配者階級しか口にする事が出来ない特別な魚です。「王の魚」と呼ばれるモイはかつてはハワイ周辺に生息していましたが、乱獲や気候の変化のため、数は減少しています。それにしても所狭しと泳ぎ回るモイの群れには圧倒されっぱなしです。

「番外編: 実は一番人気?!のギフトショップ「Gift shop」

海の生き物をモチーフにしたグッズが所狭しと並んでいるギフトショップ。ぐるっと水族館を見て回ったら最後はここで、お気に入りのグッズを見つけましょう。

記念になるTシャツのほか、バラマキ土産におすすめなのがユニークなエコバッグ($5.50~)。大胆なサメやキュートなウーパールーパーのデザインは、街中でも目立つこと間違いなし!

サメやタコ、ペンギンのぬいぐるみはモフモフして柔らかい!

スパイダーマンに変身したタコをはじめとする海の生き物がデザインされた帽子はユニーク!

養子縁組パッケージは好きな動物を1つ購入すると、あなたの養子となった証明書が発行されます。収益のすべては、水族館の生き物たちを守るために使われます。

さて、いかがでしたか?

今回ご紹介したワイキキ水族館は、2024年に120周年を迎える米国で2番目に古い公立水族館でコンパクトにまとまっていて見やすいと人気です。

一番の魅力は、「癒し」「安らぎ」「くつろぎ」といった、ハワイのぬくもりが伝わってくるナチュラルな雰囲気でしょう。大人にとっても子供にとっても憩いの場所です。

アメリカの動物園水族館協会(AZA)からも多くの名誉ある賞を与えられています。2時間もあれば全ての展示を鑑賞できるので、ハワイに来たら1度は立ち寄ってくださいね。改めてハワイが大きな太平洋に囲まれた小さな島であり、ハワイのその美しさはそこに住む海洋生物たちと共生しているからだと実感できるはずです。

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ABOUT WRITER
KIKI Shimizu

ハワイの魅力を伝えるため、2006年よりライターとして活動。小学校の先生やマッサージセラピスト、マーケティングの専門家といった別の一面もあり。