
有名なカメハメハ大王像。その後ろにある建物は…何だ? 写真:Hawaii Hsitoriv Tour LLC
ホノルルのダウンタウンにある「カメハメハ大王像」は、ハワイの記念撮影スポットの代表格として、連日、多くの人々で賑わっています。大王像がこの地に建てられたのは、1883年のこと。それから、数えきれない程の写真が、この場所で撮られてきたはずです。しかし、大王像を正面から撮った写真に必ず写りこむ、「大王像の後ろにそびえる立派な建物」については、大王像ほどは知られていないかもしれません。今回は、こちらの建物にスポットライトを当て、詳しくご紹介します。それでは、ここでクイズです。
大王像の後ろにある建物は、現在、何として使われているでしょうか?
①教会 ②ホノルル市庁舎 ③ハワイ州最高裁判所

1890年頃の、アリイオラニ・ハレとカメハメハ大王像。どちらも、変わらぬ姿を現代に伝えている。写真:Hawaii State Archives
正解は…
③ハワイ州最高裁判所 です。
最高裁判所が置かれているこの建物は「アリイオラニ・ハレ(Ali‘iōlani Hale) 」といい、ハワイ王国の王・女王が代々住んだイオラニ宮殿の敷地の、向かい側に位置しています。

アリイオラニ・ハレ入口前から見えるイオラニ宮殿。 写真:Hawaii Hsitoriv Tour LLC
ちなみに、現在のイオラニ宮殿は2代目の建物で、同じ場所にあった初代の宮殿を取り壊して、ハワイ王国7代目国王、カラカウア王の代に完成(1882年)したものです。
マウイ島のラハイナを首都として、そちらに住んでいたカメハメハ3世が、1845年にホノルルに遷都し、初代イオラニ宮殿を本拠地としました。その頃の宮殿は、木造の小さなものでした。

初代イオラニ宮殿の姿。もともと、王族の住居だったものを宮殿としたため、宮殿としては控え目なたたずまい。 写真:Hawaii State Archives
カメハメハ3世、4世、5世と代が進み、初代イオラニ宮殿も、建物がだいぶ傷んできました。そこで、カメハメハ5世のために、新たに宮殿を建てようと設計されたのが、アリイオラニ・ハレだったのです。

カメハメハ5世(治世:1863年~72年)。尊敬する祖父である大王にならい、古代ハワイの文化を大切にした王。42歳と若くして、自身の誕生日に亡くなった。写真:Hawaii State Archives
しかしながら、カメハメハ5世は、「自身が使う宮殿よりも、大きくなりつつある王国の、政府庁舎の方が必要だ」と、新宮殿に住むことを拒み、完成後は議事堂や省庁のオフィスとして使われることになりました。ところが、建物の完成前に5世は亡くなられてしまいます。
1874年に完成した際には、5世の言葉通りに、宮殿のつくりでありながらも宮殿ではなく、議事堂や裁判所が設けられ、その後のハワイの政治、社会を支えました。この建物には、5世の名の一部である「アリイオラニ(崇高なる王たち)」と、「ハレ(家)」を合わせて「アリイオラニ・ハレ」と名付けられました。
アリイオラニ・ハレは、2階部分が最高裁判所となっており、平日、法廷を除き、一般公開されています(裁判が行われる際は、2階部分は立ち入り禁止となります)。最高裁判所というだけあって、入口では厳重な持ち物チェックがありますが、エントランスホールに進むと、柔らかな光が辺りを照らしていることに気付きます。見上げてみると…

エントランスホールの天井に設けられた、ハワイの明るい陽射しが入る天窓。写真:Hawaii Hsitoriv Tour LLC
美しいデザインの天窓が目に入ります。もし宮殿として使われていたとすると、お客様をお迎えし、お見送りするには、最高の雰囲気を演出できたことを想像させます。
さらに、エントランスホールには、やわらかくカーブし、手すりにも優美なデザインが施された階段や、レトロな郵便ポストの姿も。

素敵な階段の先にあるものが法廷だと思うと、複雑な気分になるが…。写真:Hawaii Hsitoriv Tour LLC
この美しい建物は、内部を見学できるだけでなく、「カメハメハ5世 司法歴史センター」も設けられ、ハワイにおける裁判の歴史を学ぶことができるようになっています。

1階にある「司法歴史センター」は、入場料無料。1850年のホノルル市を再現したジオラマもあり、見応えある博物館だ。 写真:Hawaii Hsitoriv Tour LLC
古代のハワイで、社会規則を破った人の裁き方や、1800年代のハワイでは、どのような理由で裁判が行われていたのかなど、絵やグラフなどと共に、詳しく知ることができます。また、1913年に行われた裁判で、実際に使われた机やイスなどを用いて再現された法廷もあり、そこでは、地元の生徒が模擬裁判を行って裁判の仕組みを学んだり、ドラマの裁判シーンの撮影などが行われています。
再度、アリイオラニ・ハレを外から見てみましょう。正面玄関前に立つカメハメハ大王像を、正面から見る機会があれば、ぜひ注目してほしい所があります。それは、大王像の頭の先に見える文字です。

アリイオラニ・ハレの3階部分に、アルファベットが並ぶ。写真:Hawaii Hsitoriv Tour LLC
アリイオラニ・ハレに刻まれているのは、「KAMEHAMEHA ELIMA, KA MOI.(カメハメハ5世、国王)」。カメハメハ5世ゆかりの建物であることが記されているのです。
孫にあたる5世は、カメハメハ大王を大変尊敬していたといいます。大王像に集まるたくさんの人々を、5世はアリイオラニ・ハレから見守っているかもしれませんね。

