自家焙煎コーヒーが香るカイルアの隠れ家カフェ「トラディションコーヒー」へ

オアフ島東部の美しいビーチで知られるカイルア。そのタウン中心部から少し外れた「え?こんな場所に?」という感じの山の中に、こだわりたっぷりのカフェがあるのをご存知ですか?それが「トラディション・コーヒー・ロースターズ」。コーヒー好きなら、一度は訪れたい隠れ家的なスポットです。

香り高い、一杯のコーヒーに愛を込めて

天井が高く、ちょっと不思議な雰囲気の「トラディション・コーヒー・ロースターズ」。多くの常連さんや旅行者でいつもにぎやか。

一見、倉庫のような雰囲気のスペース。ここが「トラディション・コーヒー・ロースターズ」です。手前にはカフェスペース、そして奥にはロースターがあり、ハワイの各島はもちろん世界中から厳選されたコーヒー豆を自家焙煎しています。

メニューはあくまでシンプル。プアオーバー(ハンドドリップ)のコーヒーの品種はその日により違うので、バリスタに相談してみるのもいい。

そうやって焙煎されたフレッシュで味わい深いコーヒーを、気軽に飲めるのがこのカフェの最大の魅力です。

香り高いコーヒーを淹れてくれる、バリスタの職人技を間近で見られるのも楽しい!

コナコーヒーやカウコーヒーをはじめとした、ハワイ産のシングルオリジンのコーヒーを、プアオーバー(ハンドドリップ)で味わうのも楽しいし、エスプレッソ用にオリジナルブレンドされた豆を使った「ラテ」や「カプチーノ」もおすすめ。

まろやかで味わいの濃いラテ。癒やしの一杯をじっくり味わって

ちょっと大きめのカップで作ってくれる、アートも美しいラテには、好みでフレーバーシロップを加えることもできます。この時は、ハワイで作られたマカダミアナッツフレーバーを追加して少しだけ甘めに。美味しかった〜。

もちろんミルクの種類も選べます。こうやっていろいろカスタマイズできるのも、いいですよね。

小さめカップで味わう「コルタード」。朝の一杯に、ぜひ

ミルクの量がラテより少なめの「コルタード」は、さらに豆の味わいをしっかり感じることができる一杯。コーヒーそのものの味と香りを濃いめに味わいたい方にぴったりです。本格的なコルタードがあるカフェはあんまりないんじゃないかなと…。その日の気分で選んでみてくださいね。

また、メニューにはないのですが、スイスウォータープロセスによるこだわりのディカフェもオーダーすれば淹れてくれます。正直、ディカフェはあまり美味しくない印象があったりするのですが、ここのディカフェはとても美味しい。こういう部分でもコーヒーへの愛を感じちゃいます。

オアフ島内のベーカリーから毎朝届く、マフィンやバナナブレッドなどのペストリー。コーヒーのおともにぴったり!

カウンターのショーケースには、美味しそうなベストリーも並びます。提携するいくつかのローカルベーカリーから毎日届けらる、種類豊富なスイーツは個性も豊か。コーヒーと一緒に、ぜひどうぞ。

消防士から焙煎士への転身!オーナー、ブライアンの想いとは

さて、このカフェが登場したのは2021のこと。オーナーのブライアンさんは、以前ニューヨークで消防士をしていて、あの911の現場へも駆けつけたという経歴の持ち主なんです。さらに当時、映画のスタントマンとして活躍していたこともあるというすごいお人なのですよ。

ブライアンさんがニューヨークで消防士として活躍していた時の記事や写真が、店内に飾られている

2018年に消防士を辞め、趣味として大好きだったコーヒーへの情熱に目覚めた彼は、奥様のファミリーがいたハワイでコーヒービジネスをスタート。イチからコーヒーを学び、周囲のコミュニティとも協力して、このロースター&カフェを作り出したのです。

笑顔が素敵な、オーナーのブライアン・ブリックさん。「Qグレーダー」の資格も取得したコーヒーのプロが、その想いを熱くやさしく語ってくれた

「消防士として働いていた頃、緊迫した日々の中で、みんなでコーヒーを飲んでリラックスするのが僕らの『トラディション(伝統)』だったんだ。コーヒー産地としても素晴らしいハワイで、そのトラディションをさらに広げていけたらと、このカフェを名付けた。地元の人々、そして世界中からの旅行者を温かく迎えて、ハワイのコーヒーの奥深さを伝えるのが僕らの夢なんだ」とやさしい口調で語ってくれたブライアンさん。

現在では、取得が難しいとされる「Qグレーダー(コーヒーの品質を評価する国際資格)」も取得するほど、コーヒーを熟知しているプロフェッショナルです。

高品質のコーヒーを選び、提供していくのはもちろん、そのコーヒー農園のあり方が地球や人に優しいものであるかも厳選するというブライアンさん。オーガニック農園や女性が経営する企業などに注目し、フェアトレードにもこだわっています。

カフェのテーマカラーでもあるオレンジ色がかわいい、アイスドリンク用のペーパーカップ。エコフレンドリーな取り組みが随所に

そうそう、ここではアイスドリンクのカップにも、プラスチックを使用しないキュートなオリジナルのペーパーカップを取り入れています。ブライアンさんのお話を聞けば聞くほど、愛に満ちあふれていて、それがコーヒーの美味しさにも反映されている。そんな気がしてなりません。

こだわりの「自家焙煎」が産み出す特別な旨味

カフェの奥にある焙煎所で大量のコーヒーがローストされている。豆の特性を活かす緻密な計算が、味わいの決め手に

そんなブライアンさんを中心に、コーヒーのプロたちがコーヒー豆を厳選、豆の状態、品種に合わせて焙煎の時間、温度、湿度まどを精密にコントロールしながら、豆の持つポテンシャルを最大限に引き出す焙煎をしているのだから、その美味しさは間違いないですよね。

現在、ハワイやアメリカ本土などにある17ものカフェが、ここで焙煎した豆を使っているのだそうです。勢いがすごい!

ロースター見学ではコーヒー豆の見本などを使って丁寧に説明してくれ、ベーシックな内容から学ぶことができる

トラディション・コーヒーでは、そういった知識や美味しさの秘密をシェアするために、ロースター見学やコーヒーテイスティングなども行ってるんです。コーヒーに興味がある人ならぜひ参加していただきたい!

品評会でもお墨付き!高品質なコーヒー豆はお土産にも

ハワイの農園で栽培されたコーヒーも、世界中から厳選された豆も、ここカイルアで大切に焙煎され販売されている

カフェではローストしたコーヒー豆を購入することもできます。世界三大コーヒーのひとつとして愛されるハワイ島コナ産の「コナコーヒー」など、ハワイの各島から届いた高品質な豆はハワイ好きさんへのお土産にも最適ですよね。

National Golden Bean Competition 2024というコンペティションで、200種以上の中からブロンズを受賞した「LAVA LEGACY」というコーヒー

また、こだわりたっぷりにローストされ、様々な品評会で入賞した上質なコーヒーや、季節に合わせて焙煎された限定コーヒーなども種類豊富に並んでいるので、あれこれチェックしてみるのも楽しいですよ。

店内には、メイド・イン・ハワイのアイテムも多数。ローカルブランド同士、サポートし合っている姿にもアロハを感じる

ハワイのローカルブランドによるお菓子やグッズなども販売されていて、見ているだけでも楽しい!同じカイルアに拠点を持つ「マノアチョコレート」のチョコレートは、カラフルなパッケージも魅力ですよね。

ワイキキから遠出してでも訪れたい!それだけの価値がある一軒

ワイキキ方面からカイルアへ向かうドライブでは、ハワイならではの光景も楽しんで

コーヒー愛にあふれた、静かながら情熱あふれる隠れ家カフェ。ここで楽しむ香り高い一杯は、ハワイの特別な思い出になるはず!ワイキキから車で約30分をかけて立ち寄る価値、きっとあると思いますよ。ただし、本当に場所がわかりにくいので、地図アプリなどで事前にしっかり確認してから行かれることをおすすめします。

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ABOUT WRITER
Ritsuko Matsumoto

ハワイ在住ライター&エディター。㈱リクルートでの広告制作などを経験後、2000年にハワイへ移住。ハワイ情報誌アロハストリートの編集長を経て独立、旬なハワイ情報を旅行雑誌やウエブサイトに寄稿。趣味はカフェ巡り。