知るほどおいしい。カイルアのマノアチョコレート工場見学で出会うカカオの世界

ハワイ発のクラフトチョコレートブランドとして知られる「マノアチョコレート」。カイルアタウンのショップを訪れたことがある人は多いかもしれませんが、実はチョコレート作りの現場を見学できる工場ツアーも行われています。今回は実際に参加し、カカオがチョコレートになるまでの工程を見てきました。甘い香り漂う工場見学の様子、そしてこだわりチョコレートの魅力をお伝えします。

「Tree to Bar」にこだわるマノアチョコレートとは

チョコレートは好きだけれど、どうやって作られているのかを知る機会は意外と少ないもの。ということで先日、カイルアにあるマノアチョコレートの工場見学に参加してきました!

マノアチョコレートとは、2010年にカイルア出身のディラン・バターボー氏によって創業されたオアフ島を拠点とするクラフトチョコレートメーカーです。

やさしい味わいのクラフトチョコレートは、世界中にファンを持つこだわりの味!

最大の特徴は「Bean to Bar」へのこだわりです。カカオ豆の仕入れから選別・焙煎・成型まで、チョコレート作りのすべての工程を自社で手がけているんですよね。さらに力を入れているのが、ハワイ産カカオを活用すること。ノースショアやカウアイ島、ハワイ島など、ハワイ各地の農家と直接連携して、カカオの木の栽培から携わる「Tree to Bar」へと取り組みを進化させています。

ハワイ各島のエリア名がついたシングルオリジン・チョコレートバー。大量生産できない、希少な味わいが魅力

実は、アメリカ50州の中で、商業的にカカオ栽培ができるのはハワイ州だけなのだそう。産地・農家・製造工程のすべてにこだわる特別なチョコレート。ローカルの間でも一目置かれる存在であり、旅行者にも人気のブランド。その工場見学は、こだわりを直接体感できる貴重な機会です。

チョコレートが生まれる、その場所へ

マノアチョコレートのロゴが入った送迎バスがお出迎え

以前はカイルアタウンにあるショップ内に工場があったのですが、最近別の場所に移転し規模も拡大。今回向かったのは、その新工場でした。ワイキキから車で約40分、カイルアの山間にある集合場所(駐車場)へ行くと、マノアチョコレートの送迎バスが迎えに来てくれます。

チョコレートの香りが漂う工場の入口。アートも素敵

ツアーは少人数のグループ制です。現地へ到着し、いざ工場の中へ。入口を入った瞬間、香ばしくてどこか甘いカカオの香りがふわっと広がり、期待が高まります。ウェルカムエリアで、ツアーの流れや焙煎について説明を受けた後、まず手渡されたのはカカオ豆のサンプル。チョコレートになる前の、茶色いカカオ豆です。

ツアー参加者に、ひと粒ずつ配られるカカオ豆。そのお味は…?

試食してみると、まったく甘みはなくてちょっと苦さや渋さを感じます。これが、あの甘くて香り高いチョコレートになっていくなんて、不思議な感覚です…。さあ、次は工場の2階へ向かいます。

創業者ディラン氏は、チョコレート嫌いだった!?

まずは、ブランドの歴史やカカオ農園、工場での工程などをビデオで学ぶことから

2階へ行くとシアタールームへ案内されます。そこで、ディラン氏によるブランド&チョコレート作りについての説明ビデオを視聴するのです。

カカオ栽培の様子。カカオの実は、木の幹や太い枝から直接ぶら下がるように実るのが特徴

ディラン氏は、ハワイ大学でサステナブル・デベロップメント(持続可能な開発)を学んでいました。彼の友人が、ハワイ州でカカオが農作物として成り立つ可能性を研究していたため、そこへ遊びに行き、一緒にカカオからチョコレートを作ったのがすべての始まりだったのだそうです。

カイルア出身のロコボーイ、創業者のディラン・バターボー氏

興味深かったのは、ディラン氏は、若い頃はチョコレートがあまり好きではなかったという話。それまでは、いわゆる大量生産の甘いチョコレートしか知らなかったのに、友人と作ったチョコレートはまったく違ったと。チェリーのような果実感、花のような繊細な香りなど、チョコレートの持つ可能性に強烈に魅了されたことが、このブランドの原点なんですね。

「マイ・スプーン」を持って、いざチョコレートを試食!

とろとろのチョコレートが流れるチョコレートタワーは、見ているだけでも幸せな気分に

ビデオを見たあとは、ひとりずつに大きめのスプーンを手渡されます。ロゴが入ったきれいなスプーンを片手に通路に向かうと、ずらりと並んでいるのがチョコレートタワー!

タワーから直接、チョコレートを試食できる。これは、楽しい!

ダークチョコレートやミルクチョコレート、甘さや風味の違うチョコレートをスプーンに少しずつとって、味見ができるんです。実際に食べてみると、その味わいの違いに驚くほど。とろりとした上質なチョコレートは、本当に幸せの味です。

濃厚でつややかなチョコレート、贅沢にいただきます!

作りたてのチョコレートをあれこれ試せるなんて、これぞ工場見学ツアーならではの特権。子どもから大人まで、みんなが思い思いに楽しめるのがいいですよね。

視覚的に楽しめる、チョコレートに関する展示物も

館内には、チョコレートの種類や成分の違いを紹介する展示もあります。ダーク、ミルク、ホワイトチョコレートの違いなどを視覚的に学べるので、子どもにも大人にもわかりやすい内容です。

工場の中には大きなマシンがあれこれ。どこも清潔で管理が行き届いている

そしてここからは、工場のラインを見下ろすことができます。巨大な工場で大きなマシンが動いている様子は、なかなか見られるものではないので、貴重な体験に。作業スケジュールや時間帯によって、どの工程が実際に稼働しているかは変わってくるそうです。

カカオの実について、そして発酵の大切さなども学ぶ

そもそもカカオというのは、木になる果実です。その実である「カカオポッド」の中には白い果肉に包まれた種が20〜40粒ほど入っていて、この種がカカオ豆になるんですね。以前、その果肉部分を食べたことがあるのですが、甘酸っぱくてたしかにフルーティーだったのを覚えています。チョコレートとはまったく違うイメージですよね。

ラグビーボールのような形が特徴的。チョコレートの元となるカカオポッド

この状態から、あの独特の香りと風味を生み出すキーとなるのが「発酵」です。収穫後、数日間発酵させることで豆の内部に化学変化が起き、チョコレートの複雑な香りの元となる成分が生まれるんですって。味のバランスも、この段階で大きく左右されると言われています。

もちろん産地の気候や収穫時期によってカカオの状態も変わるとのこと。チョコレートが農作物であることを、改めて実感する話でした。ちなみに、ひとつのポッドから約1枚分のチョコレートバー用のカカオが作られるのだそうですよ。

チョコレート作りの工程も、イラストでわかりやすく展示

発酵が終わった豆は、天日干しで1〜2週間ほど乾燥。その後、工場へ届けられ、選別を経て焙煎されます。焙煎は、カカオの個性を引き出す大切な工程。産地や品種によって温度や時間を調整しながら、その豆らしい香りを引き出していくのだそうです。

その繊細さは、コーヒーの焙煎にも少し似ているように感じました。

熟練のプロによる多数の工程を経ているからこそ、あの美味しさが生まれる

焙煎後は薄い殻を取って、中の「カカオニブ」と呼ばれる粒だけにします。このニブを石臼のような機械でゆっくり時間をかけてすり潰していくと、徐々になめらかなカカオペーストに。それを型に流して成型し「チョコレート」が作られるのです。

ガラス越しに作業を見学。間近で見られるのが嬉しい

美しく成形され、パッケージングされているチョコレートたち。ここから世界中に届けられる

作業のタイミングにもよりますが、間近で工場ラインを見ることもできます。見学中は、写真やビデオ撮影も可能。いつものハワイ旅行とは一味違う、思い出作りにもなりそうです。

微妙なアロマの違いを、実際に体感。見るだけでなく五感で楽しめるツアーだ

チョコレートのアロマを体験できるブースもありました。香りをかいでみると、ナッツのような香ばしさや、花、果実を思わせるニュアンスも感じられます。チョコレートの風味は、何百種類もの香り成分が重なり合って生まれるものだというから驚きです。食べるだけでは気づきにくい奥深さを、五感で体験できるのもこのツアーの魅力ですね。

最後はショップスペースで、試食&ショッピング

パッケージもあざやかな、チョコレートたち。シングルオリジンからトロピカルフレーバーのチョコレートまで、バリエーションがすごい

ツアーの最後には、チョコレートがずらりと並ぶショップスペースへ向かいます。作り方を見てきたこだわりのチョコレートを実際に買えるのも、ツアーの醍醐味ですよね。

製造過程で発生する「殻」を再利用、エコフレンドリーなカカオティーやカカオブリュー。お土産にも最適だ

ここではチョコレートの試食に加え、カカオの殻を活用したカカオティーも試飲できます。チョコレートのような濃厚さではなく、カカオの香りを軽やかに楽しむお茶。甘さはほとんどなく、工場見学の締めくくりにぴったりの味わい。その美味しさに、私も思わず購入してしまいました。

ツアーガイドのジェオジさん。笑顔がすてき!

チョコレート三昧の甘くて奥深い時間を堪能して、お土産も買える工場見学ツアー。工場ならではの体験が詰まっています。ご興味のある方は、ぜひオンラインで予約してみてくださいね。

カイルアタウンのショップにも、ぜひ立ち寄って!

カイルア・スクエアの駐車場に面したショップ。チョコレートテイスティングもできる

工場見学の後は、カイルアタウンのショップにも足を運んでみることをおすすめします。見学を経てからショップを訪れると、棚に並ぶチョコレートバーの見え方が少し変わりそう。産地の表示、カカオの比率、シングルオリジンかどうか。以前なら素通りしていたかもしれない情報も気になってきます。

新設されたカフェスペースでは、チョコレートとコーヒーを贅沢に使ったドリンクをどうぞ

さらに、ショップの中に、新しいカフェスペースが登場したばかり。チョコレートと自家焙煎のコーヒーを使ったオリジナル・モカも味わえます。工場見学で「知る」体験をした後に、ゆっくり「選ぶ」「食べる」を堪能してみて。

お洒落な雰囲気の店内。チョコレートだけでなく「カカオワイン」などもあるので、ゆっくり楽しんで

ちなみに、曜日によりますが、ショップには日本語スタッフもいるとのこと。日本語での説明が必要な場合は、事前に確認されることをおすすめします。※取材した工場見学ツアーは英語のみとなります。

普段何気なく食べているチョコレート。その一枚の背景には、カカオ農家の仕事、発酵や焙煎の工程、そして作り手のこだわりが詰まっています。マノアチョコレートの工場見学は、チョコレートを「知る」ことで、おいしさの感じ方が少し変わる素敵な体験でした。

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ABOUT WRITER
Ritsuko Matsumoto

ハワイ在住ライター&エディター。㈱リクルートでの広告制作などを経験後、2000年にハワイへ移住。ハワイ情報誌アロハストリートの編集長を経て独立、旬なハワイ情報を旅行雑誌やウエブサイトに寄稿。趣味はカフェ巡り。