日米の歴史を肌で感じるアリゾナ記念館

太平洋戦争開戦の舞台として有名なパールハーバー(真珠湾)。日本軍による攻撃の爪痕を目の当たりにするため、日本人としては足を運びにくい、と思う方も多いかもしれません。ですが、日本とアメリカは現在、力強い同盟国に。その両国の歴史や当時の人間の過ちを学ぶことにより、今ある平和への感謝を深く感じることができます。だからこそ、日本人として一度は訪れてほしい、パールハーバーはそんなお勧めの観光スポットなのです。

湾内には主に4つの観光施設があります。そのメインとなるのが、国内外から毎年200万人近くの人々が訪れるアリゾナ記念館です。まずは、アリゾナ記念館とはどんなところなのかという基礎知識からご紹介していきましょう。

沈没した戦艦の真上に建てられた国立慰霊碑

1941年12月7日、日本軍によって真珠湾が攻撃されました。アリゾナ記念館は、その攻撃で沈没した戦艦アリゾナとその乗組員1177人やすべての死傷者を讃えるために建設された国定の慰霊施設です。現在も海底に残されたままのアリゾナ号の真上に交差するような位置で建てられています。

内部はエントランス、中央広間、そして奥にある慰霊所の3つに分けられています。中央の広間の両側には大きな窓が7つずつあり、その窓から海底に沈んだアリゾナ号の残骸を見ることができます。80年以上経った今でも、撃沈された船からはオイルが海に流れ続け、「アリゾナの涙」「黒い涙」とも呼ばれています。

建物の奥に進むと、慰霊所があります。正面にある真っ白な大理石の壁は、真珠湾攻撃で戦死したアリゾナの乗組員全員の名前が刻まれた慰霊碑です。ここでは皆それぞれ、静かに黙祷を捧げています。戦死した方々へ想いで、とても厳かな気分になります。

事前予約なしの場合は早めに到着しよう

アリゾナ記念館への入場は無料で、パールハーバービジターセンターからシャトルボードでの移動となります。以前はオンライン事前予約もしくは当日ウォークインでチケットを入手し、約20分の英語ドキュメンタリー鑑賞後にボートに乗るシステムでしたが、今回取材に行った時は当日配布の紙のチケットは廃止になっていました。現在は、乗船用の列が3つ用意されています。事前予約している人用の列(乗船時間前にアナウンスがあります)と、ウォークイン用は乗船前に映画を観る列、観ずに乗船する列がありました。公式ウェブサイトによると、事前予約なしで乗船できる保証はないそうなので、特に繁忙期は事前予約がお勧めです。もし、予約なしで行く場合は、なるべく早めの時間に到着するようにしましょう。

ビジターセンターは午前7時から午後5時まで開いています。但し、アリゾナ記念館の見学プログラムの開始時間は午前8時から午後3時30分です。アリゾナ記念館の見学所要時間はボートでの移動と記念館内での滞在時間を含め約45分。次にご案内する歴史展示なども前後にゆっくり廻ると、より充実した観光になります。

ビジターセンターにも見逃せない展示が

せっかくアリゾナ記念館に行くのでしたら、ビジターセンターにある歴史展示もマストチェックです。展示室は2つに分かれており、手前の展示室「Road to War」には、太平洋戦争が始まるまでの道のりなど歴史的な資料が展示してあります。奥の展示室「Attack」は、真珠湾攻撃の概要や攻撃当時の状況を示す資料の展示で、攻撃に関する短いドキュメンタリー映像も観られます。

また、ビジターセンターの屋外部分には、戦艦アリゾナ号のものだった大きな錨や鐘のほか、いくつかの展示板やモニュメントがあります。特にお天気の日は、ハワイの爽やかな風に吹かれながら気持ちよく見学できます。

展示は全て英語ですので、理解を深めるために、日本語解説が聞ける “オーディオツアー用ヘッドセット”を借りるのがお勧めです。シャトルボート乗船前に観るドキュメンタリー映画の同時通訳もこれで聞くことができます。レンタル料金は$7.99/30分〜(2023年3月現在)、ビジターセンター入り口正面の一番左側にあるカウンターで貸し出しています。

訪れる前にこれだけは知っておこう

真珠湾にある観光施設の中で、入場無料なのはアリゾナ記念館のみです。その他の施設、戦艦ミズーリ記念館、太平洋航空博物館、ボーフィン潜水艦博物館は有料で、全てをじっくり廻ると丸1日かかります。どの施設をどの程度見学したいのか目星をつけて、プランを立ててから行くとより効率的です。また、予算に余裕があるのであれば、日本人の立場からの様々な解説が聴ける現地ツアー会社催行の観光ツアーで行くのもお勧めです。

また、セキュリティ上の理由から、真珠湾内の全ての施設は厳しい手荷物の規制があります。バッグの持ち込みは禁止(中身が見える透明バッグはOK)。お財布、携帯電話、カメラ(ケースに入ってない状態)、水は持ち込めます。それ以外の手荷物はビジターセンター入口手前の右側にある手荷物保管所へ預けることができます。料金は小さな荷物は1つ$7、大きな荷物は1つ$10です(2023年3月現在)。レンタカーで行く場合でも車上荒らしの懸念がありますので、注意しましょう。最初から荷物は少なめで出かけるのが得策です。

一人ひとりの平和への祈りが未来を変える

アリゾナ記念館はほぼ年中無休。休館日は、サンクスギビングデー(11月の第四木曜日)、クリスマス、元旦の3日間のみ。但し、真珠湾攻撃のあった12月7日は、毎年記念式典が朝からあるので、観光はこの日も避けた方がスムーズです。

2016年には故・安倍元首相も訪れ、祈りを捧げられたアリゾナ記念館。戦争の惨禍を二度と繰り返さないためにも、私たち一人ひとりがここを訪れ、平和について、当時の命を落とした人々について、思いを馳せることができる場所です。ハワイに来たら、ぜひ一度訪れてみてください。

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デコスタなおこ

美的ブランディング戦略コーチ。起業家向けに“自然にお客様を引き寄せる”ブランド作りをサポート。短時間のヒアリングから言葉とデザインで的確に世界観を表現するランディングページ、SNS魅せ方コンサル、ライブ配信サポート等のサービスを提供。日本時間の毎週月曜12:15pmからライブ配信中。

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