地元ローカル達はもちろん、世界中からハワイを訪れる人々が、揚げたてのマラサダ(Malasada)を求めて、カパフル通りのお店に朝早くから行列ができる光景は、もはやホノルルの日常風景のひとつ。言わずと知れたハワイの老舗、ローカル御用達のお店、レナーズ・ベーカリー(Leonard`s Bakery)をご紹介します。

ハワイのランドマーク的存在のカパフル店舗
レナーズの歴史は、1882年にまでさかのぼります。ポルトガル・サンミゲル島からハワイへ渡ったドレゴ家が、サトウキビ農園で働きながらこの地に根を下ろしたことが始まりで、その孫にあたるレナード・ドレゴ氏が、1952年にカパフル通りで「レナーズ・ベーカリー」の前身である「スノーフレーク・ベーカリー」を創業。転機となったのは、翌1953年の「シュローブ・チューズデー(四旬節前の火曜日)」のこと。「ポルトガルの伝統菓子・マラサダを作ってみては?」というお母さんの一言から、最初は「少しエスニックすぎるかも」と思われていたマラサダが、ふたを開ければ大ヒット。年に一度の伝統行事だったものが、一年中楽しめるハワイの定番スイーツへと成長します。そして、1957年に現在のお店の場所へ移転し、ここからハワイのマラサダ文化が本格的に広まっていくこととなります。

大きな金網のトレーに54個並べられたマラサダの生地

トレーをそのまま温められた油の中へ沈めて

こんがりと揚がるまで待ちます

しばらくすると生地が膨らんで熱々の揚げたてのマラサダが浮き上がってきます

揚げたてのマラサダが箱詰めのステーションへ

一つ一つ砂糖をまぶしていく行程は全て手作業
現在、マネージャーとしてお店を切り盛りするのは、創業者の孫にあたる3代目・レニーさん。サンディエゴの大学に在籍中、コロナ禍をきっかけにハワイへ戻り、家業を手伝ううちに「この場所を守っていきたい」という想いが芽生え、そのまま家業を継ぐことを決意したと言います。

店舗の裏にある作業場とキッチンを案内してくれた3代目のレニーさん
来年、創業75周年という大きな節目を迎えるレナーズは、現在はオアフ島内に6拠点を展開し、約90名ほどのスタッフが働いていますが、創業当時からお店に立ち続けるスタッフがいることも、このお店の誇りのひとつ。「従業員もまた家族」という思いと共に、家族経営で守られてきた温かさが、レナーズ全体に流れているのを感じます。

創業当時から使い続けているというスチームケトルで作業する従業員のディエゴさん
次世代の経営者候補である、レニーさんが口にするのは「新しいことへの挑戦より、今まで守ってきた伝統を続けていきたい」という言葉。その姿勢こそが、長く愛される理由のひとつなのかもしれません。
レナーズといえば、カパフル通り沿いのボールパークサイン(看板)と、店舗のレトロな風貌で有名。そして、なんといってもあの愛らしいピンクの箱に、商標登録されているキャッチコピー「Hawaii's Original Malasada」のブルーの文字とともに、ハワイを象徴するブランドとして確固たる地位を築いてきました。

マラサダの他にもスイートブレッドを使ったペストリーも人気
観光客はもちろん、地元のローカルにとっても「マラサダといえばレナーズ」は揺るぎないブランド。できるだけ値上げをせず、親しみやすい価格をキープし続けることにこだわり、誰もが気軽に手を伸ばせる存在であり続けることが、まさにハワイの老舗たる所以なのでしょう。
マラサダとは、穴の開いていないポルトガル風ドーナツのこと。レナーズでは、たっぷりとした生地を丁寧に揚げ、外はこんがり、中は驚くほど軽くてふわふわ。注文後に揚げられるから、受け取るマラサダはいつもアツアツで、袋を開けた瞬間にふわっと広がる甘い香りだけで、もう笑顔になってしまいます。

フィリング(マラサダの中身)は、定番のカスタード、ドバシュ(チョコレート)、ハウピア、マカデミア、グアバに加え、マンスリースペシャル(取材時はパイナップル)の6種類
味の決め手は、長年守られてきた特製生地と、厳選された素材。シンプルだからこそ引き立つ、素朴でやさしいおいしさ。はじめて訪れるなら、まずは砂糖をまぶしたプレーンタイプを是非お試しあれ。外側のほんのりした甘さと、生地そのもののやさしい風味を、シンプルに楽しむのが王道。カスタードやチョコレート、グアバなどフィリング入りのマラサダも人気なので、数種類をオーダーして、シェアしながら食べるのも、おすすめです。

フィリング(マラサダの中身)を詰める行程も全て手作業
店の前にはいつも人だかりができていますが、回転は意外と早め。早朝から営業しているので、朝食代わりに立ち寄るのもおすすめです。店内で注文して、番号を呼ばれたら外で受け取るスタイル。揚げたてをその場で頬張るもよし、ピンクの箱に詰めてホテルへ持って帰るもよし。

お店の外はいつも長蛇の列
「ハワイの味」と聞いて思い浮かべるものは、人それぞれですが、レナーズのマラサダは、多くの人にとって"ハワイの甘い記憶"そのもの。ローカルにも観光客にも愛され続けてきた理由は、一口食べればきっとわかるはず。

リーズナブルな価格と、1個から購入できるというのも嬉しい

